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《セイバーメトリクスで読み解くCS》2度目の下克上達成には得点力ある日本ハム打線を抑えロッテ

【この記事の読みどころ】
・粘って粘って最後に西武を追い抜いたロッテは数字に見えない強さを持つ
・ディフェンス力のロッテ! 石川の投球に期待
・攻撃力ある日本ハムのカギを握るのは中田じゃなく、近藤だ!


 最後まで粘り強く戦ったロッテがクライマックスシリーズ出場を決めた。
※シーズン終盤にロッテを分析した記事はこちらです。

 シーズントータルの成績では、ロッテの1試合平均得点は3.92だったのに対し、3位の座を争った西武は4.41とかなり差があった。ディフェンスではロッテの失点率(9イニング当たりの失点)は4.01(リーグ3位)で、4.08の西武よりもいい値だが、得点力に比べると差は小さかった。それでも、ロッテはこの差を跳ね返して西武を上回る勝率を達成したことになる。それはなぜだろうか?

☆後半戦で大幅に失点減らしたロッテ、得点力に安定感あった日本ハム


 ロッテは後半戦の失点率が劇的に低下している。前半戦80試合では4.51だったのが後半戦63試合は3.37。9イニング当たり1.2点ほど失点が減っている。これはリーグトップのソフトバンクの後半戦の数字である3.32にも匹敵する。

 この失点減の理由がどこにあるのか、スタッツから見出すのは難しい。新戦力や復帰選手が大活躍したわけでもなく、奪三振や与四球、被本塁打などにわかりやすい変化があったわけでもない。おそらく、味方の守備、打たせている打球の質、打球がどこに飛んだか、どんなタイミングでヒットが出たかなどの運の要素が、複合的に関わっているように映る。

 平均得点を前半戦と後半戦で分けて見ると、ロッテは4.15から3.63へ低下させてもいる。落ち込んだ得点力を、様々な要素で高めたディフェンス力でカバーして勝利を重ね、ロッテは3位に滑り込んだと見られる。

 そのロッテと戦うパ・リーグ2位の日本ハムは、シーズントータルだと平均得点でリーグ3位(4.30)、失点率だと5位(4.10)。勝率の高さ(.560)を考えると、案外伸びていない。

 前半戦と後半戦を比べても平均得点はほぼキープ。中田翔とレアードの長打力、近藤健介や西川遥輝らの出塁力のバランスで一定の得点力を維持したようだ。失点率はやや悪化している。

☆ロッテは登板があれば石川、日本ハムは近藤の働きに注目

 「ディフェンスのロッテ」と「ある程度計算できる得点力の日本ハム」による対戦というのが自然な見方となる。この強みを支える存在、キーマンを挙げるなら、ロッテは先発が予想される石川歩、日本ハムは出塁力、長打力をバランスよく備えて得点増に寄与してきた近藤か。

 パ・リーグ4位の12勝を挙げた石川は、三振はそれほど奪っておらず、打者を圧倒するようなピッチングはあまり見せなかった。だが、9イニング当たり約1.7個という抜群の四球の少なさを好投につなげてきた。CSでも持ち味を発揮すれば、後半戦の低失点で勝ち上がってきた“ロッテの戦い”を再現できるかもしれない。


 柳田悠岐(ソフトバンク)、秋山翔吾(西武)の陰に隠れたが、近藤もリーグを代表する打者へのステップを踏んだ。四球を選べて(走者になる)、ヒットも打てる(走者を還す)。どちらもできる打者で、中田とレアードの間の5番打者として日本ハムの得点力を支えていたと見られる。近藤がシーズン同様に元気に働けば、日本ハムの得点力が大きく失われることはなさそうだ。


 CS 1stステージは3試合制という超短期決戦。データとして見えるような力関係になるかはわからないが、ポイントはロッテの投手陣が後半戦のような失点で切り抜けられるかどうかにありそうだ。


文=秋山健一郎(あきやま・けんいちろう)
1978年生まれ、東京都出身。編集者。担当書籍に『日本ハムに学ぶ勝てる組織づくりの教科書』(講談社プラスアルファ新書)、『プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクスリポート1〜3 』(デルタ、水曜社)など。

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