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上原浩治、平野佳寿、十亀剣……控え投手から成り上がった投手たち!

 プロ野球の投手の大半は、学生時代からエースとして活躍してきた選手が多い。そんな中、学生時代は控えながらも、その後、プロ野球で大きく羽ばたいた投手の活躍も見逃せない。過去の例で言えば石井丈裕(元西武ほか)、紀藤真琴(元広島ほか)、高津臣吾(元ヤクルトほか)……。今年、広島に戻ってきた黒田博樹も、上宮高時代は控えだった。現在、現役の一線級で活躍する「元控え投手」の投手を紹介する。

上原浩治(レッドソックス)


 東海大仰星高時代は外野手だったが、3年にあがると投手も兼任するようになった。しかし、後に日本ハムなどで活躍する建山義紀がエースだったため、登板機会は少なかった。高校卒業後は大学進学を希望するが受験に失敗。1年間は浪人生として受験勉強にアルバイト、そして体力強化に取り組んだ。このトレーニングとの相性がよく、浪人している間に球速がアップする、という考えもしなかった効果を得て、大阪体育大に入学する。

 大学時代に一気に秘めたる素質が開花。大学3年時には大学選手権で好投し注目を集める。さらに、1997年のインターコンチネンタル杯の日本代表に選ばれ、決勝戦では国際大会で151連勝中だったキューバ相手に投げ勝ったことで、海外にも上原の存在は知られるようになる。その結果、MLBのスカウトも動き出し、特にエンゼルスは熱心に勧誘していた。しかし、1998年のドラフトで巨人を逆指名し、入団した。

 1年目にいきなり20勝を挙げ、タイトルを総なめ。その後は、ケガと戦いながらも、巨人のエースとして好成績を残し続けた。また、国際舞台にも強く、2004年のアテネ五輪、2006年のWBCでは、先発陣の一角に名を連ねた。

 2008年オフにFA権を行使して、オリオールズに入団。先発では結果が残せなかったものの、日本で1シーズンだけ経験したリリーフに配置転換されると、新境地を開く活躍ぶり。2011年シーズン途中には、レンジャーズへ移籍し、建山と再びチームメイトに。史上初のポストシーズン3試合連続で本塁打を浴びる珍事もあったが、安定した結果を残して、チームに欠かせない存在となる。

 2013年には、クラブハウスに温水洗浄便座があるレッドソックスへ移籍。シーズン途中からクローザーに任命され、21セーブをマークする。このシーズンでは、連続無失点や、連続アウトの記録で賑わせたのは記憶に新しい。タイガースとのリーグチャンピオンシップでは1勝3セーブでMVPを受賞、続くワールドシリーズで走塁妨害によりサヨナラ負けを喫する、という珍しい出来事を経験した。珍しいことといえば、もちろん、ワールドシリーズでの胴上げ投手となったことは言うまでもないだろう。40歳となった今シーズンも、レッドソックス不動のクローザーとしてプレーし続けている。



平野佳寿(オリックス)


 鳥羽高時代は2年春夏、3年春と3季連続で甲子園出場を果たし、2年春、3年春と2度ベンチ入りするが、いずれも控え投手に甘んじた。しかし、京都産業大に進学後、急成長を遂げ、4年間で通算36勝11敗404奪三振という結果を残した。2005年の大学・社会人ドラフトでオリックスに希望入団枠で入団する。入団後は先発として登板し、1年目には7勝のうち、4完封を記録するが、試合、シーズンを通して、コンスタントに投げられず、伸び悩んだ。

 転機となったのはプロ5年目。セットアッパーに転向すると、持ち前の150キロを超えるストレートと落差のあるフォークボールがフル活用されるようになる。2010年にリリーフのみの登板で101奪三振を記録。翌2011年にはリーグ最多の72試合に登板、6勝43ホールドで最優秀中継ぎ投手を受賞した。2013年には岸田護に代わってクローザーを務め、昨年の2014年は40セーブで最多セーブ投手を受賞し、チームの2位躍進に大きく貢献した。

十亀剣(西武)


 愛工大名電高1年時に、オーバースローからサイドスローに転向。3年春には、同校初となるセンバツを制覇したものの、背番号1を付けていたのは齊賀洋平(現JX-ENEOS・外野手)だった。日本大進学後は1年春から登板するが、1部と2部を行き来していたチーム状況もあり、東都大学リーグ1部では1勝も挙げることはできなかった。2部では通算7勝で、大学通算50試合以上は登板し、荒ぶりながら投げていたものの、なかなか結果には結びつかなかった。ドラフト候補にも挙げられていたが指名はなく、社会人野球の強豪・JR東日本へ進む。

 そんな十亀だが、社会人でその才能が開花する。ただ荒ぶるだけでなく、気持ちもボールも抑えられるようになり、心なしかマウンド上での表情は柔らかくなったように感じた。2年目の2011年にはチームの都市対抗優勝に大きく貢献。同年秋のドラフト会議で西武から1位指名を受ける。

 プロ1年目の2012年は、主にセットアッパーとして6勝0敗と好成績を残した。2013年は先発として1年間ローテーションを守り8勝をマーク。今季は先発ローテーションの一角を担い、オールスターゲームでは監督推薦で選出されるなど、チーム内外で評価は高まっている。

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