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Global Baseball Match2015注目の欧州代表選手を紹介! 彼らのプレーに気をつけろ!

 いよいよ来週に迫った侍ジャパンの強化試合、Global Baseball Match2015。今回は、欧州代表という、野球の世界ではあまり聞き慣れない相手との対戦ということで、注目度は今ひとつかもしれない。しかし、欧州各国でプレー経験のある選手や元選手に聞いてみると、各国リーグ自体について言えば、そのレベルは選手のレベルはピンキリでお世辞にも高いとは言えないものの、トップ選手だけ集めれば、十分に日本代表と伍することができるとのこと。

 既に発表されている来日メンバー28人の構成をざっと見ると、オランダ代表プラス各国の補強選手といった感じだ。主力を占めるオランダは15人、これにプロリーグがあるイタリアの6人が続く。この両国のメンバーには、NPB所属のマエストリ(オリックス/イタリア)、バンデンハーク(ソフトバンク/オランダ)、昨年まで楽天でプレーしていたジョーンズにファンミル(ともにオランダ)など、なかなかの顔ぶれが揃っている。両国の選手のほとんどはプロ経験をもっているので、彼らがスターティングラインナップを占めることになるだろう。ここでは、日本の野球ファンになじみのない、日本でプレーしている選手以外のプレーヤーを紹介していきたい。

 まずは、オランダの投手2人。

 ディエゴマー・マークウェル。カリブ海のオランダ領アンティル諸島出身の彼は、アテネ五輪に始まり、これまで3度のWBC全てに代表入りしたオランダのエースだ。1997年に17歳でブルージェイズと契約したものの、残念ながらAAまでしか昇格出来なかった。台湾などでもプレーし、現在はオランダの名門・ネプチューンズに所属している。決め球のチェンジアップがどこまで侍ジャパンに通用するか注目だ。

 WBCに詳しい人なら、シャイロン・マルティスは知っているだろうか。第1回大会の第1ラウンドのパナマ戦において、最初のノーヒットノーランを達成したカリビアンだ。その後、ナショナルズ時代にメジャー昇格を果たし、2シーズンで6勝を挙げている。昨年は、台湾の統一ライオンズに在籍し、先発投手として8勝7敗という成績を挙げている。この両輪が今回の先発を務めるのではないだろうか。

 打者で言えば、代表チームと同じく、ジョーンズとクリーンアップを組むと予想されるのが、ユレンデル・デカスターだ。


 彼もカリブ海のキュラソー出身で、1998年にデビルレイズ(現レイズ)と契約して以来、アメリカ、カナダ、メキシコ、ベネズエラでプレーしてきた。2006年にはパイレーツでメジャーデビューを飾っている。昨シーズンはプレーせず、1年のブランクがあるが、2013年にはメキシカンリーグのモンクローバで打率.342という成績を残した打者だ。

 イタリアからは野手2人を挙げておこう。

 1999年にエクスポズのルーキー級でプロデビューしたベネズエラ出身のフアン・カルロス・インファンテは、2009年にイタリアの名門チームであるフォルイティテュード・ボローニャに入団。遊撃手として、チームの中心選手として君臨している。イタリア国籍も取得し、前回のWBCには代表入りした。現在は、夏はイタリア、冬はベネズエラと、年中プレーを続けるタフガイだ。今大会では、イタリアNo.1とも評されるフィールディングに注目したい。


 そしてもうひとり、「ミスター・イタリア」と言っても過言ではない選手もメンバー入りしている。マリオ・キアリーニだ。2000年に、マリナーズとも契約し、ルーキー級で3割を記録している。国際大会では度々キャプテンを務め、2度出場したWBCでは全試合出場している。長らく地元チーム・リミニに所属していたが、今年は心機一転、ライバルのサンマリノに移籍した。今回も左翼手でスタメンが予想される。


 ここまで読めば、あることに気付くだろう。今回の欧州代表の主力メンバーは、我々が頭に浮かべるヨーロッパ大陸出身の「白人」は少数派だということだ。各国出身のいわゆるヨーロピアン選手のトップは、MLB球団と契約し、現在マイナーキャンプの真っ最中。今回のメンバーは、独立リーグやMLB以外の世界各国のプロリーグ所属選手と、ヨーロッパリーグの選手で占められる。中南米カリブ出身の選手は、ヨーロッパ各国の国籍を取得していても、アマチュアリーグで、プロの助っ人としてプレーすることが多いので、必然、アメリカを去ったカリビアンやラティーノが今回の主力を占めることになるのだ。

 その典型例がスペインで、4人全員がラテンアメリカ出身の「助っ人軍団」だ。3人がベネズエラ、1人がドミニカ共和国出身。もちろん全員がアメリカでのプロ経験がある。

 その中でも別格なのが、ドミニカ共和国出身のフェルナンド・マルチネス。2009年から2013年までメジャーに在籍し、メッツ、アストロズで99試合に出場している。マイナーでは通算70発。今シーズンは、3Aにランキングされるメキシカンリーグのベラクルスとまず契約し、ここからメジャー復帰を狙う。

 ドイツからは、マインツ・アスレチックスのジャン・ニクラス・ストックリンとヘイデンヘイム・ヘイデコーフェのルーク・ソマーが参加している。アメリカ生まれのソマーは、4年のマイナーでのキャリアをもち、2010年にはカブスの3Aでプレーしている。

 また、フランスからただひとり、メンバーに選ばれたオーウェン・オーザニックもまたアメリカの大学でプレーし、2011-2012シーズンのオーストラリア・ウインター・リーグでプレーした経験をもつ。

 彼らのような選手にとっては、今回の大会は、アジアのプロリーグへの絶好のアピールの場。こういう選手は、しばしば思わぬ力を発揮するので、侍ジャパンも油断大敵だ。

■ライター・プロフィール
阿佐智(あさ・さとし)/1970年生まれ。世界放浪と野球観戦を生業とするライター。「週刊ベースボール」、「読む野球」、「スポーツナビ」などに寄稿。野球記事以外の仕事も希望しているが、なぜかお声がかからない。一発当てようと、現在出版のあてのない新刊を執筆中。ブログ「阿佐智のアサスポ・ワールドベースボール」(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/gr009041)

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