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教育者?勝負師?高校野球監督とは何者なのか?高校野球に人生を賭けた名将の染みるエピソードが満載!

 球児の夏。燃える青春。甲子園切符を賭けた地方大会が繰り広げられている最中に出る『野球太郎』の最新号は、1冊まるまる高校野球監督づくしの「高校野球監督名鑑号」。

 高校野球の監督は教育者? それとも勝負師? そういったひと言ではまったく割り切れない高校野球、言わば「答えなき情の世界」に人生を捧げた男たちのエピソードは、ただただ濃密。熱戦の数だけドラマがあり、ドラマの数だけ高校野球監督がいるのだ。

 本誌に登場する監督たちが発する言葉の端々からも信念、生き様、矜持、そして悔恨がにじみ出ている。その中からいくつかの染みるエピソードを紹介してみよう。




◎木内幸男(取手二高〜常総学院高)

 ありきたりのセオリーを超えた「木内マジック」で甲子園を沸かせた遅咲きの名将・木内幸男氏。「職業監督」にこだわり、想定不能な起用法で恐れられた木内氏だったが、勇退前には臆病になった自分を自覚したという。

「監督のつらいところは子どもたちの心の中に入っていじくりまわすこと。100パーセント成功するとは限らないし、歳をとってくるとだんだん臆病になる。だから『お前の人生だからやりてぇようにやってみな』ってことで終わりにしちゃった」

 規格外の名将が、老いとともに見つめたグラウンドはどんな風景だったのか……。


◎中井哲之(広陵高)


 理不尽なことが大嫌い。筋を通す人情派として慕われる中井哲之監督。その気概のルーツは「中井家」にあった。27歳で名門の監督に就任した時に父親からかけられた言葉は、「人のお子さんを預かったのだから、なにがあろうとも彼らを一番に考える人間でいなさい」。

 故に中井監督は広陵野球部を「大きな家族」と呼ぶ。生徒との付き合いは一生ものだ、と。その信念は今もブレない。

「今も喜怒哀楽は激しいし、家族だからかっこなんかつけずに心を裸にして向かっていく。(中略)これからも子どもと共に勝ちたいし、納得いく負け方だってしたい。ドキドキもしたいし、涙だって流したい」

 広島大会直前に4時間も取材時間を割いてくれた中井監督。別れ際に言ったひと言は「今の自分を支えている幸せはお金では買えないものばかり」だった。

 他にも、夏に勝てない名将・倉野光生監督(愛工大名電高)が自ら語る「夏への奇策」、「平成の最強軍団」を作りあげるも「勝負師ではなく凡人」と自己分析する西谷浩一監督の(大阪桐蔭高)のチーム育成術、紅白戦も組めないやんちゃくれ野球部に「原点」を見つけたという末次秀樹監督(元柳川高、自由ケ丘高、現真颯館高)の新たな挑戦など、「高校野球監督という人生」の機微に触れられる記事が満載。高校野球が好きな方ならぜひご一読を!


■プロフィール
文=山本貴政(やまもと・たかまさ)/1972年3月2日生まれ。音楽、出版、カルチャー、ファッション、野球関連の執筆・編集・企画・ディレクションを幅広く手掛けている。また音楽レーベル「Coa Records」のディレクターとしても60タイトルほど制作。最近編集を手掛けた書籍は『ブルース・スプリングスティーン アメリカの夢と失望を照らし続けた男』、編集・執筆を手掛けたフリーペーパーは『Shibuya CLUB QUATTRO 25th Anniversary』、ディレクションを手掛けた展示会は『Music Jacket Gallery』(@新宿高島屋)など。

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