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◎今週の野球みどころランキング[11月19日(月)〜11月25日(日)]

『野球見どころランキング』は、週はじめの時点で注目度の高まっている野球関連の話題について紹介していきます。

実はもう、はじまっているWBC
――― WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)

 ご存知かとは思いますが、WBCには予選があります。本大会に出場できるのは16の国と地域で、そのうちの12枠を日本を含む予選免除国が占めています。予選では、残り4つの枠を、16の国と地域が争っています。4つのグループに分けて行われており、第1組、第2組は9月に終了。スペインとカナダが本大会進出を決めました。残りの第3組、第4組は11月15日から19日(現地時間)にかけてそれぞれパナマと台湾で行われています。ここまで、第3組はブラジル、パナマが本大会出場の可能性を残しており、第4組はソフトバンクの投手・陽耀勲の活躍もあり、台湾が出場を決めました。
 なお、WBCは国籍を持つ国以外の代表にもなれます。自分、もしくは親のどちらかが出生していたり、親のどちらかが国籍を持っている国であれば出場資格が発生するのです。
 NPBからも、フィリピン人の母親を持つ小川龍也(中日)はフィリピン代表に名を連ねています。メジャーからも、ヤンキースなどでメジャー通算2769安打を記録した外野手、ジョニー・デーモンが母親の母国であるタイ代表としてプレーするというケースが生まれています。なお、デーモンがプレーするタイ代表の監督は北九州市立大硬式野球部の徳永政夫監督が務めました。すでに敗退しましたが、フィリピン、ニュージーランドから2点を奪っています。

ウインターリーグについて
――― アジア・中南米のプロ野球

 育成を目的としたウインターリーグへの選手の派遣が各球団より発表されています。行き先は台湾、オーストラリア、プエルトリコなど。期間は11月後半から約1カ月というところが多く、派遣された選手は現地のチームに振り分けられプレーします。現在までに派遣が発表されているのは、下記の選手になります。

【台湾】
巨人(大田泰示、中井大介、脇谷亮太、河野元貴、松本竜也)
ヤクルト(山田哲人、中村悠平、川上竜平、木谷良平、徳山武陽)
DeNA(小杉陽太、佐藤祥万、桑原将志、啓二朗)
ソフトバンク(川原弘之、有馬翔、山下斐紹、牧原大成、安田圭佑)

【オーストラリア】
西武(小石博孝、中?雄太、中田祥多)

【プエルトリコ】
巨人(田原誠次、笠原将生)
ソフトバンク(二保旭、嘉弥真新也、中原大樹)

【コロンビア】
信濃グランセローズ(篠田朗樹、小川武志)
新潟アルビレックス(羽豆恭、福岡良州)
石川ミリオンスターズ(松田翔太、松山傑、高孝)

これまで、ウインターリーグへの参加を経て、活躍した選手は多く(例えば、今年引退した小久保裕紀や城島健司、他にもイチローなど)、派遣される彼らの今後の活躍を期待したいです。

第38回社会人野球日本選手権
――― 社会人野球

 11月3日(土)から13日(火)にかけて行われた社会人野球日本選手権は、JX-ENEOSが優勝。都市対抗野球大会に続く2冠達成を果たしました。同一年に両大会で優勝するのは1988年の東芝以来、史上2チーム目の快挙です。決勝は都市対抗野球と同じJR東日本との対戦になりました。JX-ENEOSは、先発投手に日本ハムからドラフト6位で指名された屋宜照悟を抜擢。6回3分の2を1失点に抑え試合をつくると、打っては6回に2本塁打が飛び出し、JR東日本を突き放しました。MVPは都市対抗野球で橋戸賞(MVP)を受賞し、今大会では日本生命戦などで好投した大城基志が受賞しました。

サイ・ヤング賞と新人王が決定
――― メジャーリーグ

 11月12日(月)、メジャーリーグで新人王が発表されました。このタイトルは全米野球記者協会の投票で選出されるもので、ア・リーグではマイク・トラウト(エンゼルス)、ナ・リーグではブライス・ハーパー(ナショナルズ)が選ばれました。ア・リーグの最終候補までは残ったダルビッシュ有(レンジャーズ)ですが、結局トラウト、ヨエニス・セスペデス(アスレチックス)に次ぐ3位という結果に。トラウトはMVPの可能性もささやかれていただけに、それを上回るのは少々厳しく、妥当な順位でしょう。
 また、14日(水)にはサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)も発表されました。同賞はア・リーグは20勝、防御率2.56だったデビッド・プライス(レイズ)が、ナ・リーグがナックルボーラーのR.A.ディッキー(メッツ)がともに初受賞。サイ・ヤング賞も記者投票で決まりますが、ダルビッシュも1票を獲得しました。

ドラフト指名選手の契約状況
――― ストーブリーグの話題

 10月25日のドラフト会議で指名された選手と球団との契約は、一部を除き順調に進んでいるようです。15日(水)には阪神のドラフト1位・藤浪晋太郎(大阪桐蔭)も無事契約。契約金1億プラス出来高5000万、年俸1500万円(いずれも推定)と高卒新人としては最高条件での契約となっています。藤浪は「期待していただけているということ。それに見合う働きをしないといけない」とコメントし、気を引き締めていました。
 厳しい交渉が続いているのが、日本ハムが強行指名した大谷翔平(花巻東)。日本ハムは17日(金)に4度目の接触となる入団交渉を行い、「投手と野手、両方に挑戦する道」を提示。大谷のパイオニア精神の刺激を試みました。
 この交渉の評価はスポーツ紙各紙で少し分かれています。日本ハムの発表した「次回交渉には栗山英樹監督が出席する」という情報をプラスに捉えた新聞はやや軟化と評価している様子。大谷の父親が「全くNOという感じでもない」とコメントしたのも影響していると思われます。
 両親は日本でのプレーを希望していると伝えられています。それにしてもこうしたコメントが出る事実は、交渉相手としての日本ハムへの一定の信頼をうかがわせます。今回の交渉では、何を話したか、どんなメリットを大谷に伝えたかがメディアを通じ“ガラス張り状態”になっているようですが、信頼はそうした姿勢から芽生えているような気がします。

桐蔭横浜大が初の神宮制覇
――― 大学野球(神宮大会)

 11月10日(土)〜14日(水)までの日程で行われていた明治神宮野球大会が閉会しました。大学の部は創部7年目の桐蔭横浜大が初優勝。桐蔭横浜大は松山大、大阪体育大に勝利して準決勝に進むと、初戦にエース・東浜巨を登板させて福岡大に完封勝ちした亜細亜大と対戦。東浜はマウンドに上がりませんでしたが、桐蔭横浜大は3年生の小野和博が5安打完封勝利。決勝の法政大戦でもDeNAからドラフト2位で指名を受けた三嶋一輝との投げ合いに勝った小野は連続完封。好投手擁する大学にしっかり勝つ、新興大学ながら地力を感じさせる優勝でした。

仙台育英が初優勝。東北勢が連覇
――― 高校野球(神宮大会)

 高校野球の部は東北地区代表の仙台育英が初優勝。こちらは県岐阜商、北照、関西に対し6点、7点、12点と安定した得点力を発揮しての優勝でした。仙台育英は先代のチームが、10月に行われた「ぎふ清流国体」で大阪桐蔭とともに両校優勝を果たしており、世代をまたいでの今年2冠目。これでセンバツの神宮大会枠は東北地区にもたらされることになり、今回特別に用意された東北絆枠と、従来の代表枠とを合わせるとなんと4枠に。
 決勝までコマを進めた中国地区代表の関西は3回目の準優勝(最多)。好成績ではありますが「中国地方の高校の神宮大会制覇はなし」というジンクスは、打ち破れませんでした。

マーリンズ、チーム解体にスタントンが激怒
――― メジャーリーグ


 このオフの動きを見ていて「日本でもトレードが盛んになってきた」気がしていましたが、アメリカは規格外、と思わせる出来事が。13日(火)、昨オフのマイアミ移転を機にマイアミ・マーリンズが大型補強を敢行しましたが、そこで獲得した選手らチームの主力選手の大半をトロント・ブルージェイズとの間でトレードすることを発表したのです。なんと、計12人行き交う大トレードとなりました。マーリンズは、シーズン中から高年俸選手の放出を開始しており、今回の移籍で文字通り“解体”されることになりました。金銭も同時に動き、その額は140億円とも言われています。
 チームに残った主力は主砲のジャンカルロ・スタントンのみといってもいい状況。スタントンは球団の極端な編成方針に、"Alright, I'm pissed off!!! Plain & Simple,"(本当に頭にきた!)とtwitterでつぶやくなど、怒りをあらわにしています。
 マーリンズのオーナー、ジェフリー・ローリアは、かつて当時のモントリオール・エキスポズを所有し、自治体の支援が受けられないと決まった途端、球団をMLB機構に売却。結果、エキスポズがモントリオールから去らねばらならない事態を引き起こした人物として知られています。マーリンズの移転では自治体が巨額の支援を実施し、その期待に応える形で大型補強を実施しましたが、今回のトレードはその方針を完全に変えようとするもの。今後は総年俸を抑えることで、“金持ち球団”からの“貧乏球団”へと渡される「分配金」確保を狙うものと見られています。
 ビジネスとして球団を持つのはわかりますが、ここまでやって応援する人が出てくるのか疑問です。いざとなれば自治体の支援で資産価値の高まった球団を売ってしまえばいい――という考えも持っているとも噂されていますが…。

鳥谷FAせず残留決定
――― ストーブリーグの話題


 12日(月)、最後まで動向のはっきりしなかった鳥谷敬(阪神)が、FA宣言せずチームに残留する意思を表明しました。この直前に、二遊間でコンビを組むことが多かった平野恵一(阪神)がFA宣言を済ませていましたが、この決断を聞いていたのかもしれません。これと時を同じくして固まったのが西岡剛(元ツインズ)の阪神入り。一時は他球団との交渉も前進しているかのような発言がありましたが、19日(月)に阪神入りが発表されました。
 さらに16日(金)に明らかになったのは、五十嵐亮太(ヤンキースをFA)のソフトバンク入り。やはり阪神入りが濃厚という話が飛び交っていましたが、ソフトバンクが獲得。また、ソフトバンクの話題としては、今シーズン中継ぎとして活躍を見せた岡島秀樹がメジャーを目指す意思を見せ、自由契約になっています。五十嵐の獲得にも多少の影響があったのでしょうか? 
 トレードでは、巨人の金刃憲人投手仲澤広基内野手と楽天の井野卓捕手横川史学外野手の交換が発表されています。また先行して報道されていた北篤外野手(DeNA)土屋健二投手(日本ハム)のトレードも、球団より正式発表されました。
 そのほかの動きでは、ロッテがトライアウトを受けていない自由契約選手に対するテストを盛んに行っています。今シーズンはイタリアでプレーしていたG.G.佐藤、昨シーズン中日でプレーしていた佐伯貴弘、今シーズン限りでやはり阪神を自由契約になった小林宏之などをテスト。いまのところ契約は厳しそうですが、新たな戦力掘り出しに躍起です。
 外国人では、林昌勇がヤクルトを、サファテが広島を自由契約となることが決まった模様。林昌勇は契約延長を望んだようですが、ケガから復帰までの時間がネックになっているようです。サファテは能力的にNPBで通用しないと広島は踏んだようだとの報道も。サファテについては、DeNAが触手をのばしていると見られています。

侍ジャパン、キューバとの強化試合で連勝
――― WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)

 16日(金)と18日(日)、それぞれ福岡と札幌で行われた野球日本代表(侍ジャパン)とキューバ代表の強化試合は、侍ジャパンが2連勝しました。
 初戦は大隣憲司(ソフトバンク)、大竹寛(広島)がそれぞれ2回をパーフェクトに抑えるなど7投手による完封リレー。キューバ打線を3安打に抑え込みました。打線はキューバのエース・ペドロソ、マルティネスらをつかまえきれませんでしたが、2回に出た炭谷銀仁朗(西武)のソロ本塁打などによる2点を守り切って勝ちました。
 18日の第2戦は澤村拓一(巨人)が先発。この試合も互いに投手を短いイニングで交代しテスト。7回まで得点が生まれず前戦同様の投手戦になりました。均衡を破れたのは8回。堂林翔太(広島)がセンターオーバーの三塁打で出塁すると、坂本勇人(巨人)の犠牲フライなどで2点を奪取。8回に涌井秀章(西武)がキューバの強打の三塁手・グリエルに一発を浴びましたが、9回にT-岡田(オリックス)がつくったチャンスから1点を追加。その裏を山口俊(DeNA)が2三振を奪って抑えました。
 多くのメジャーリーガーが出場辞退を表明する中、国内組での初陣となった山本浩二監督率いる侍ジャパンでしたが、投手陣を中心に一定のメドがたちそうな気配は感じられました。

(まとめ)
 明治神宮大会と社会人野球日本選手権が終わり、アマチュア野球もこれでオフモードに。プロ野球はオフと言いつつもWBCにトライアウト、ウインターリーグと話題を拾っていくと、まだまだオフという感じはしませんね。
 神宮大会では東北地区代表の優勝により、センバツ大会は東北地区から4枠ということになりましたが、ぜひこのチャンスを生かし、東北に吉報を届けてほしいものです!

<今週のスケジュール>
NPBファン感謝デー・ファンフェスティバル
11月23日(金・祝)
北海道日本ハムファイターズ@札幌ドーム
埼玉西武ライオンズ@西武ドーム
読売ジャイアンツ@東京ドーム
東京ヤクルトスワローズ@神宮球場
横浜DeNAベイスターズ@横浜スタジアム
阪神タイガース@阪神甲子園球場
広島東洋カープ@マツダスタジアム

11月24日(土)
東北楽天ゴールデンイーグルス@日本製紙クリネックススタジアム宮城
中日ドラゴンズ@ナゴヤドーム

11月25日(日)
千葉ロッテマリーンズ@QVCマリンフィールド
オリックス・バファローズ@京セラドーム大阪

※福岡ソフトバンクホークスは18日に行われました。

プロ野球コンベンション 2012
11月21日 @グランドプリンスホテル新高輪

日本シリーズ優勝パレード
読売ジャイアンツ、日本シリーズ優勝パレード@日本橋〜銀座

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