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ドラフトの隠し玉!? 帝京大準硬式野球部・鶴田圭祐と歴代準硬式出身プロ野球選手たち


 いよいよ迫ってきたプロ野球ドラフト会議2016。近年稀に見る豊作ドラフト、といわれ、1位指名はもちろん2位であっても、例年であれば1位クラスが獲得できる可能性が高い、と言われている。

 そんな注目ドラフトは、下位指名でも話題を呼ぶことになるかもしれない。近年久しく聞くことのなかった「準硬式野球部出身」選手の誕生が囁かれているからだ。

鶴田圭祐(帝京大学準硬式野球部)


 その選手は帝京大学準硬式野球部の投手、鶴田圭祐だ。先日発売された『野球太郎 No.020 2016ドラフト直前大特集号』から、鶴田評を引用したい。

《「硬式球より5キロは遅くなる」と言われる準硬式球で149キロを投げ込むスリークオーター左腕。打者の対角線上に投げ込むクロスファイヤーとキレ味鋭いスライダーが武器。高校時代(※寒川高)は制球難で投手落第も、大学入学後に投手に再転向し能力が開花》

 また、1年前の『野球太郎』に掲載されたインタビューでは、2016年の抱負として「150キロを投げることとフィールディングの向上。そして、何としてでも卒業後は、硬式野球の高いレベルでプレーしたいです」と語っていただけに、本人もプロ入りの意向は強い。

 鶴田選手は果たして、プロで通用するのか? その可能性を探る上では、過去、プロ野球でプレーした準硬式野球部出身選手についておさらいしておく必要があるだろう。代表的な2人の選手について振り返りたい。


青木勇人(同志社大学準硬式野球部出身)


 青木は修徳高校時代、一度は硬式野球部に所属するも、準軟式野球部に転向。同志社大学進学後も準硬式野球部に所属した。1999年のドラフト会議で西武から6位指名され入団。西武、広島で11年間プレーし、主に中継ぎ投手として210試合に登板。通算9勝(6敗1セーブ)を挙げた。現在は広島3軍投手コーチ強化担当を務めている。

 準硬式出身選手として、もっともプロで数字を残した青木だが、別な意味で注目されたのが西武入団1年目、2000年8月7日のオリックス戦。この試合、9回表2死満塁の場面で代打に起用されたのが投手の松坂大輔。松坂が2点タイムリーを放つと、その直後に松坂の代走として出場。投手の代打、投手の代走として大きく報じられた。

川口盛外(早稲田大学準硬式野球部)


 川口は東京六大学準硬式リーグで通算34勝を挙げた左腕。大学卒業後、社会人野球の王子で硬式野球部へ。身長は174センチと小柄にもかかわらず、140キロ後半のストレートを操り、2008年、第78回都市対抗野球で新人王に当たる若獅子賞に輝く。

 2009年のドラフトで広島から6位指名を受け、入団。だが、2年間の在籍で1軍登板機会はなく、戦力外となる。だが川口は野球を辞めず、古巣・王子に戻って今もプレーを続けている。

 準硬式球は硬式球とほぼ同じ中身だが、外側の表面が軟式球と同じ天然ゴムでできている。バットは硬式の金属製を使用する選手がほとんどだ。プレーする選手の多くは高校で硬式野球を経験しているだけに、決してレベルは低くない。また、高い競技レベルを持ちながらケガで硬式野球部入りを断念した選手も少なくない。

 上述した川口盛外も高校時代は硬式野球部。だが3年夏に肩を壊してしまい、大学での硬式野球部入りを断念。声がかかった早稲田大学の準硬式野球部でプレーをしながら肩を癒し、社会人野球で硬式球を再び握り、ブレイクを果たしたのだ。

 また、ケガの理由以外でも、硬式野球部の厳しい上下関係に嫌気がさし、自由な気質を求めて準硬式野球部の門を叩く選手もいるという。普段の練習だけでなく、試合の運営も学生主体で取り組んでいるため「就職活動に役立つ」「社会勉強になる」と、準硬式野球の魅力を語る選手も多いという。

 ある意味で、現代っ子気質にも合っている、ともいえる準硬式野球。鶴田に続く選手が今後も出てくる可能性もあるだけに、今年のドラフトだけでなく、継続して追いかけると、思わぬ掘り出しものが見つかるかもしれない。


文=オグマナオト

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