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中日1位 鈴木博志・ケガを越え社会人で覚醒した最速156キロの剛腕

2018-01-31(水)0:00

鈴木博志(ヤマハ)・中日1位 鈴木博志・ケガを越え社会人で覚醒した最速156キロの剛腕

2017年プロ野球ドラフト会議で、総勢82名の選手が指名された。
2018年からのプロでの活躍に期待したい。 週刊野球太郎では、ドラフト会議の直前にインタビューした指名選手18名を特集!
プロで活躍するために戦ってきたドラフト候補と、彼らの「真価」を最も熟知している監督さんを取材した貴重な「証言」をお届けします。


今回の指名選手

鈴木博志(ヤマハ)

中日 ドラフト1位
鈴木博志(すずき・ひろし)

181センチ95キロ/右投右打。1997(平成9)年3月22日生まれ、静岡県掛川市出身。大浜中ではエースとして活躍。磐田東高に入学後、1年秋に最速143キロをマークするも、その後は故障に苦しむ。3年夏は背番号17で3回戦敗退。ヤマハ入社後に球速がアップし、2年目から公式戦に登板。今年は最速156キロを記録した。ドラフト上位候補に名前が挙がる剛腕投手だ。


★最初の印象
 高校1年の時に、同じチームの齋藤誠哉(ソフトバンク)と一緒にウチの練習に参加してくれました。投げ方、ボールの強さなど、優れた能力を持っているなと率直に感じました。そこから鈴木が気になっていたのですが、よくなったと思ったら故障の繰り返しで、 3年の時も状態が上がってきていませんでした。

★衝撃のデビュー
 入社が決まった時点で、ヒジの疲労骨折はわかっていました。そこで、まず1年目は体幹を含めた基本的なトレーニングで体を作り、その中でリハビリをやっていこうというプランを立てました。イメージとしては3年目に都市対抗予選で投げてくれればと。それが1年目の8月のオープン戦で起用したら、いきなり140キロ台中盤のすごいボールを投げて。潜在能力があることはわかっていましたが、正直ここまでとは考えていませんでした。ケガの功名かもしれませんが、じっくりと体作りをやったことが、パフォーマンス に影響を与えたのだと思います。でも結局、そこから故障があって満足に冬の練習ができないまま、2年目に入ってしまいました。

★痺れる場面を経験
 2年目は、まず全力で投げられるように短いイニングで使いました。印象に残っているのは昨年の都市対抗予選です。西濃運輸との第4代表決定戦の9回、3対1と勝っている場面で思い切っていかせました。1点を失いましたが、あそこで逃げ切ってくれたことで、社会人選手として一つ成長したのではないでしょうか。

★これから
 今年になって徐々にゲームの中で自分の持っている力を出せるようになってきました。ただ、見失ってほしくないのは速いボールを投げられるからといって試合に勝てるわけではありません。もっともっとバッターとの駆け引き、クイックなど、勝てるピッチャーになるための経験値を高めることが必要でしょう。誰からも信頼されるピッチャーになり、長く活躍してもらいたいです。

◎監督さんプロフィール


美甘将弘[みかも・まさひろ]
1974(昭和49)年生まれ、岡山県出身。津山工高〜東北福祉大〜ヤマハ。ヤマハでは都市対抗4強進出に貢献するなど10年間プレーし、主将も務めた。2015年に監督となり、昨年は日本選手権で優勝を果たす。



★高校時代は故障に泣く
 高校1年の秋に143キロが出て、その頃からプロを意識するようになりました。3年になれば150キロが出ると思っていたのですが、2年の冬からヒジの故障に苦しみました。3年の5月になったら、もうヒジが取れてしまうと感じるくらいに痛くて…。夏の静 岡大会ではごまかしながら3イニングだけ投げましたが、球速は130キロくらいしか出ませんでした。引退してから疲労骨折とわかり、10月に手術したのですが「本当に治るのか」と不安でした。

★社会人で急激に成長
 ヤマハに入って1年間は体を作るつもりでした。ウエイトトレーニングを始め、主に背中や下半身を鍛えました。フォームも廣岡剛投手コーチに見てもらいながら、一番力を伝えやすい形をシャドーピッチングで固めました。1年目の8月のオープン戦で投げた時は 自分でも驚きました。そこまで力を入れていないのに、140キロ台中盤が出て。自分の体なのに、自分の体ではない感覚でした。

★7割、8割の力で
 今年は、全力で投げなくても150キロ以上を出すことができました。7、8割の力で投げることで、下半身に粘りが出て、球持ちもよくなりました。その上で156キロをマークしたことは自信になりました。この秋は先発をやって9回まで投げ切ることができた のも、このフォームを追及したからだと思います。

★これから
 自分としては先発よりも抑え向きだと考えています。当然、日本で結果を残してからになりますが、夢はメジャーで活躍することです。クレイグ・キンブレル投手(レッドソックス)のような世界最強のストッパーを目指しています。




ストレート  147 〜 156キロ
カットボール 136 〜 145キロ
スライダー  125 〜 130キロ
フォーク   138 〜 147キロ
カーブ    115 〜 120キロ

ストレート以外の決め球として磨いているのはフォークです。ジャパンの代表合宿で杉浦正則コーチから教わったものを自分なりにアレンジして投げています。どちらかというと、スプリットに近いです。(本人)






◎監督

決して力むことなく、ゆったりとしたフォームですが、そのわりに強いボールがくるのが一番の長所だと思います。打者からすると、打ちづらいピッチャーです。

◎本人

意識しているのは左足が地面につく瞬間から投げ終わるまでの時間を長くすることです。普通、左足が地面につくと、右足が離れたくなるのですが、そこを我慢する。そうすると下半身に粘りが出て、球持ちもよくなります。




 高校時代からとにかくストイックに自分を追い込んでいた。ある練習試合での出来事。ベンチに姿が見えないと思ったら一人でスタンドの階段で足腰を鍛えていた。社会人入社後もその姿勢は変わらない。毎日、寮から中田島砂丘まで往復約15キロの道をランニングし、指導者から「もう止めておけ」とストップがかかったこともあったとか。素質だけでなく、努力でのし上がった選手だ。


本稿は雑誌『野球太郎 No.024 2017ドラフト直前大特集号』(2017年9月23日発行)に掲載された人気企画「ドラフト候補&指導者マンツーマン・インタビュー」から、ライター・栗山司氏が執筆した記事をリライト、転載したものです。


取材・文 栗山司

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