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亜細亜大の7連覇を阻止! 駒澤大野球部が13年遠ざかっていたリーグ優勝を手にするまで

●26季ぶりにつかんだ悲願。その原動力は前年からの悔しい思い

 26季ぶりの優勝を果たした駒澤大。昨春は優勝に王手をかけながら、あと一歩届かずに逃した。その秋には最下位に沈み、2部優勝校との入れ替え戦に臨むことになった。2連勝はしたものの、楽な試合ではなく、薄氷を踏むような日々が続いたシーズンで、何とか1部に踏みとどまった。

 そんな落差のある1年を、今年の主力選手のほとんどがグラウンドで経験し、さらに、今春も幸先のいいスタートを切りながら、自滅で優勝戦線から外れてしまった、という苦しい思いを重ねたことが、2001年秋以来となる優勝につながったのだろう。しかも、勝ち点5の完全優勝だ。

 しかし、いずれのカードも第3戦目まで及び、15試合を戦い抜いた末につかんだ優勝。この道のりは、楽なものではなかった。特に、結果的に2季連続最下位となってしまった青山学院大とのリーグ戦の初戦(駒澤大にとっての開幕戦)は、エース・今永昇太(3年・北筑高)が2発のソロ本塁打を浴びて、9回2死まで1点リードされていたところ、内野安打で同点に追いつき、試合を引き分けに持ち込む、「あわや」という展開だった。

●連続ホームランで先制!

 最終的に優勝の可能性が駒澤大と中央大に絞られたリーグ最終週。駒澤大は、2週にわたって襲ってきた台風のために未消化となった対中央大3回戦に勝利すれば優勝。一方の中央大は、この試合に勝ち、さらに未消化である対青山学院大3回戦に勝利すると、駒澤大との優勝決定プレーオフに持ち込める展開。駒澤大の方が有利とはいえ、どちらにも自力優勝が残されている状況だった。

 この一戦の先発は駒澤大が今永、中央大は島袋洋奨(4年・興南高)。長い不振からようやく立ち直った兆しが見えた島袋は、この前の試合で約1年ぶりの白星を挙げていた。負ければ終わりの試合だったが、秋田秀幸監督の信頼は厚かった。

 初回、先攻の駒澤大は先頭の下川知弥(4年・筑陽学園高)が三球三振に斬って取られる。だが、続く打者は初球こそストライクだが、ボールが続いていく。制球に苦しむことが多かった島袋だからだろう、ボールの判定のたびに駒澤大ベンチが大きく沸く。これは駒澤大に限ったことではなく、島袋に対しては他大も同じような反応を示していた。

 結局、この打者に四球を与えると、3番の齋藤導久(4年・愛知高)にもボールが先行する。カウント2−1から投じられた4球目を齋藤が強振。打球はライトスタンドへ飛び込む2ランホームラン。一塁ベースを回ると、齋藤は右の拳を突き上げて喜びをあらわにした。


▲先制2ランの齋藤。嬉しい大学初アーチで優勝を決めた

 余韻さめやらぬ中、さらに続く江越大賀(4年・海星高)が初球を振り抜き、これもライトスタンドへと運んだ。江越も表情を緩めてホームに還り、チームメートと喜びをわかち合った。

▲ダメ押し本塁打を打った江越。ラストシーズンにして初の打率3割をマークした

 とはいえ、中央大も強打のチーム。開幕戦では終盤の粘りで試合をひっくり返している。初回の3点では、まだまだ行方はわからなかった。

 今永は立ち上がりを三者凡退に打ち取ると、2回、3回も打者3人を完ぺきに抑えた。4回裏、先頭打者の新城拓(2年・興南高)に初ヒットを許したが、次打者の福田将儀(4年・習志野高)から三振を奪い、流れを渡さない。島袋は、四球を与えてなかなかリズムをつかめないでいるものの、2回から6回までヒットは許さず、試合は膠着状態に。

▲中央大・先発の島袋。初回の3失点が重くのしかかった

●シーズン11試合目のマウンドに立ったエースが見せた熱投

 7回まで3安打無四球と好投を続ける今永だが、8回裏にソロ本塁打を浴びてしまう。さらに2死から二塁打を打たれてピンチに。

▲ソロ本塁打を放ち、笑顔の中央大・松田進(2年・國學院久我山高)。昨春以来のスタメンを勝ち取り、ベストナインを受賞


 この日を含めて11試合に登板し、すでに80イニングス超を投げている左腕。優勝のプレッシャーに加え、疲れも溜まっていることは間違いない。試合後、今永は「取ってもらった3点を守るのが、こんなにも大変なのかと思い知らされた」と話すほど追い込まれていた。それでも、この最大のピンチを空振り三振で凌いだ。

 2番から始まる9回裏、まず先頭打者を見逃し三振に抑え、次打者はライトフライ。

 駒澤大スタンドは優勝を確信したかのようにざわつき、中央大のベンチは涙を流す者もいた。

 今永は最後の打者を2−2と追い込み、見逃し三振で試合を締めた。

 センター方向を向いて両手を突き上げる今永。ベンチから、外野から仲間たちがマウンド付近に集まるのをよそに、今永は笑顔で整列に向かおうとする場面もあったが、最後はやはり全員で歓喜の輪ができた。

▲1失点完投勝利で優勝に導いたエース左腕・今永。MVP、最優秀投手賞、ベストナインの3冠に輝いた


▲普段よりも多くの人が駆け付けた応援席からは、紙テープが投げ込まれて祝った


▲現役選手が初めて味わう優勝に歓喜の輪ができる

★試合後コメント
西村亮監督


「優勝は13年できなかったこと。長いことできていないと思っていたが、なかなかできないなと思っていた。去年くらいから、だんだん力をつけて、落ち着いてできるようになった。大変嬉しいです」

福山亮主将

「素直に嬉しい。4年生が中心になって、絶対に優勝すると一致団結できた結果。これまで楽な試合はなかったが、自分たちの中で対亜細亜大が1つのポイントとしてあったので、そこで勝ち点を取れたのは自信になった。次も目の前の一球一打に全力で全てを出して戦いたいです」

江越大賀

「亜細亜大の初戦を落とした時は苦しかったが、今永を中心に下級生に助けてもらったことがあるので、4年生中心でやろうと話をしてからはその通りにいけた。(初回の本塁打について)打ったのは真っ直ぐ。思い切っていこう、と思ったのでしっかり振れた。去年は1勝することの難しさを痛感したので、優勝が見えても一戦一戦集中できました」

今永昇太

「ずっと何が足りないのかを模索してきた。これまでやってきたことが無駄じゃないと証明できて、ほっとしている。去年とは責任感が違う。あの頃は、どこか他人事というか、『いけるだろう』と過信があった。今年は『自分たちは力がないんだ』と思って臨んだ。練習中、声を出しているのはメンバーに入っていない4年生、投手ではベンチ入りはされているが高橋涼平さん。引っ張っていく姿を見せてもらって僕らも頑張れた。一番つらいのは、補助に回っている選手だと思うので、陰の功労者を忘れてはいけないと思っています」

 駒澤大は東都大学リーグ代表として、11月14日開幕の明治神宮大会に出場する。初戦は大会3日目の第3試合の予定だ。


■ライタープロフィール
山田沙希子(やまだ・さきこ)/東京都出身。早い時期から東都大学リーグの魅力にハマり、大学生時は平日の多くは神宮球場または神宮第二球場に通い詰めた、三度の飯より東都大学リーグが好きなライター。多くの東都プレイヤーの取材を通して、さらに東都愛は加速。ナックルボールスタジアム主催のイベント「TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会〜」でも活躍。

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