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《セイバーメトリクスで読み解くCS》似た者同士対決!巨人阪神伝統の戦いは、1点を争う戦いに!

【この記事の読みどころ】
・投手力で勝ってきた巨人と阪神のチーム状況は似ている
・第3戦までもつれると守備力の差が勝敗に影響も
・去年は阪神が4連勝も、今回の巨人には菅野がいる!


 カードの決定は最終戦までもつれたが、2位・巨人と3位・阪神によってセ・リーグのクライマックスシリーズは始まることになった。

 両チームともに、先発投手にスターを擁する一方で、打線には力強さを欠く。チーム像については似ている部分があるように映る。失点状況では巨人が引き離しているが、エースをぶつけられる短期決戦では、阪神も張り合えそうだ。

☆投手力主体のチームの対決! エースクラスの力量は互角?


 阪神は藤浪晋太郎とメッセンジャー、巨人はマイコラスと菅野智之。互いの2枚看板はかなりの確率で登板を果たすだろう。

 藤浪、メッセンジャーは三振の多さ、菅野、マイコラスは四球の少なさという強みの違いはあるが、投手としての基礎的な能力に長けた存在であるということは共通していて、ほぼ互角といえる。この2枚同士で1勝1敗となり、3枚目の先発投手が命運を決するという展開はありそうだ。首脳陣がその試合を誰にまかせるかは興味が湧く部分ではある。

☆勝負を決するのは守備力の差か!?

 今シーズンの先発としての起用状況から考えると、阪神は岩田稔、能見篤史、岩崎優のいずれかが3番手に選ばれるのが順当か。3人は三振奪取や被本塁打などでは藤浪、メッセンジャーとは差があるが制球などでは上回っている。

 巨人はポレダを軸に、大竹寛や内海哲也の名前もCSの先発候補として挙がっていた。シーズンでは先発を任された高木勇人はリリーフに回るという報道もある。

 このあたりの顔ぶれでは、高木がフライを打たれがちで被本塁打も多いという面はあるが、その他の要素は阪神の3番手候補とだいたい同じレベルだろう。大竹、内海は今季の登板が少なくデータは参考にしにくいが、経験というプラス要素もありそうだ。今季の活躍度を優先するか、経験豊富なベテランに委ねるか、先発投手の器用に注目しよう。

 ただ、投手の基礎的な能力ではあまり差がないが、阪神の3番手投手に藤浪やメッセンジャーのような三振を奪う力でのアドバンテージがないとなると、実際に喫する失点には、守備力の差が表れる可能性は否定できない。

 その点では、巨人はシーズンを通して本塁打以外の打球をアウトにする割合(DER: Defense Efficiency Ratio)が高く、一定の守備力を備えていたと推測され有利か。とはいえ守備はフィジカルの状況が強く影響する部分でもあり、シーズンの疲れがどれだけ溜まっているか、伝えられていないケガの発生などによって、状況は全く変わる可能性もある。

☆今季13敗の能見……大一番で仕事ができるか?

 キーマンも投手、特に3番手候補から挙げてみたい。阪神は能見。ヤクルトが優勝を決める試合の負け投手になるなど今季13敗を喫したが、内容は一定レベル以上を記録しておりCSで印象を払拭することを期待したい。

 巨人は3番手にポレダを送るとみられる。奪三振は少ないが、力のある打球をあまり打たせない投球はできており、被本塁打も少ない。黒星が多いとはいえ、投げ合うだろう相手は阪神のエースで、自軍の打線を考えるとあまり失点は許されない。重要な役割を担う。


 同じカードで行われた昨年のファイナルステージでは、2位・阪神が1試合平均5点以上を奪って4連勝する一方的な結果に終わった。だが、今年先発するとみられる菅野、マイコラス、ポレダの3投手はいずれも登板していない。全く違う展開、結果となる可能性もありそうだ。



文=秋山健一郎(あきやま・けんいちろう)
1978年生まれ、東京都出身。編集者。担当書籍に『日本ハムに学ぶ勝てる組織づくりの教科書』(講談社プラスアルファ新書)、『プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクスリポート1〜3 』(デルタ、水曜社)など。

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