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人生は何が正解かわからない。外崎修汰、金子侑司、浅村栄斗ら西武の「元ショート三銃士」が活躍中

2017-08-10(木)0:00

人生は何が正解かわからない。外崎修汰、金子侑司、浅村栄斗ら西武の「元ショート三銃士」が活躍中

 西武が絶好調である。後半戦に入って13連勝したことで、CS進出のボーダーラインから一気に優勝を狙える位置まで浮上してきた。

 「ここ数シーズンの低迷はなんだったのか」というレベルの変貌ぶりだが、今季の違いはやはりショート・源田壮亮の存在だろう。

 西武は2012年オフに中島裕之(現・宏之、オリックス)がチームを去って以来、源田が登場するまで4シーズンに渡ってショートを確立できなかった。もちろん、その間にドラフトで有力な遊撃候補を獲得してきたが、ショートは石毛宏典(引退)、松井稼頭央(現・楽天)らが務めてきた「ミスターライオンズ」のポジションだけにファンの期待値も高く、彼らはなかなか思うような結果を出せなかった。

 とはいえ、ショート争いに破れたからといってプロ野球人生が断たれるわけでなく、別のポジションでチームに貢献している選手もいる。そこで今回は、西武の「元ショート」の今をお伝えしたい。

◎急造外野手が本職を超える活躍


 まずは、2014年のドラフト3位で富士大から入団し、ルーキーイヤーの2015年に金子侑司(50試合)、鬼崎裕司(38試合)に次ぐ31試合にショートとしてスタメン出場した外崎修汰。

 その2015年は、イースタン・リーグで最終的に最多の27個盗塁を記録した脚力を認められ、7月上旬に1軍昇格。7月から8月にかけて主に9番を任されていたが、約1カ月で7失策という不安定な守備に首脳陣が耐えきれず、9月に入るとベンチウォーマーに。

 即戦力と目された大卒ルーキーとはいえ期待しすぎるのは酷だと思うが、1年目の失態が尾を引き、2年目はショートとして9試合の先発に留まる。

 そんな外崎に訪れた転機は今季途中の外野コンバート。辻発彦監督が期待した田代将太郎や木村文紀らが振るわなかったこと、源田が2番ショートでブレイクしたことが重なったことで4月16日からレフトを任されると、7月6日にエラーを喫するまでノーミスでプレー。もともと外野手の適性があったのではないかと思わせるようなプレーぶり。

 その好循環からか打撃も上昇。シーズン中盤まで2割前後だった打率は、一時は2割4分まで上昇。また、過去2年で3本塁打ながら、今季はすでに9本塁打。キャリアハイを大幅に更新し、初の2ケタ本塁打も狙える勢いだ。

 盗塁もリーグ1位の源田(28盗塁)、2位の西川遥輝(27盗塁)には水を空けられているが、3位の15盗塁をマーク。持ち味の快足もしっかりと発揮している。

 ちなみに外崎が打つと、ツイッターで「#アップルパンチ」とつぶやくことが西武ファンのなかで密かに広まっている。これは外崎の実家がリンゴ農園ということに由来するのだが、西武ファンの筆者も外崎が打つとスマホに手が伸びる。

 ルーキーの源田に注目が集まりがちだが、西武躍進の貢献度は源田と同学年の外崎も負けてはいない。

◎宿命づけられていた外野コンバート


 続いては2012年のドラフト3位・金子侑。俊足巧打の両打ちというポテンシャルの高さから、いきなり背番号「2」を与えられ、ショートの穴を埋めることを期待された。しかし、デビュー戦は打撃と足を生かすため外野手としての出場だった。

 今思えば、これが現在への伏線だったのかもしれないが、本人はもちろん首脳陣にもファン的にも「ショートとして開花してほしい」という思いがあったため、2年目の2014年はショートとして開幕戦に出場した。

 しかし、当時の伊原春樹監督から「スイッチヒッター禁止令」を出されたことでリズムが狂ったのか打撃不振に陥り、あげく守備でも送球難に苦しんだことでレギュラー奪取はならず。

 2015年はケガをおして先発出場した50試合すべてでショートに就いたものの、決定打にはならず、昨季には再び「流浪の守備人」へ逆戻り。しかし、後半戦では外野を守り、53盗塁で初タイトルを獲得するなど、これまでとはひと味違う「ニュー金子」の誕生を匂わせた。

 こうした紆余曲折の末に、5年目の今季はショートへの未練を断ち切って外野手1本で挑んでいる。序盤こそ故障で棒に振ったが、5月末に復帰すると2試合目から早くもスタメンで出場。現在は打率3割3分台の「恐怖の9番打者」として上位打線へのつなぎ役を担っている。

 ちなみに金子侑のチーム内での愛称は「か」を取った「ねこ」だが、こちらはツイッターで「#ネコパンチ」とはつぶやかれない模様……。


◎回り道して切り開いた居場所


 3人目は2008年のドラフト3位入団で「ポスト中島」の最右翼だった浅村栄斗。大阪桐蔭時代からショートを守り、夏の甲子園で優勝するなど実績もバツグン。筆者も「中島の後のショートは浅村」と疑っていなかった。

 浅村はそんなファンの期待に応えるかのように順調に1軍への階段を登っていった。3年目の2011年には開幕スタメンの座を勝ち取り、1年間レギュラーとして出場。しかし、それはファースト(59試合)、セカンド(2試合)、サード(1試合)、レフト(47試合)、ライト(13試合)と本職のショートとは異なる守備位置でのものだった。

 この起用法の背景には、当時の西武にはショートに中島、セカンドに片岡易之(現・治大。巨人)、サードに中村剛也という不動のレギュラーがいたことで、適当な守備位置がなく、「ジャーニーマン」にせざるを得ない事情があった。

 5年目に弱冠22歳にして打点王のタイトルを獲得したことを見ると、この起用法は「打の経験」を積むためには有益に働いた面もある。ただ一方で、中島退団後にショートで出場したときにエラーを頻発(サヨナラ暴投など)したため、「守の経験」としては、やはり疑問符がつく。

 とはいえ、ショートのレギュラー奪取とはいかなかったが、守備の感性、特に捕球技術は錆びついておらず、伊原春樹政権時代に守り始めたセカンドにバチッとフィット。今の西武に「3番セカンド・浅村栄斗」は欠かせないものとなっている。

 「スイッチヒッター禁止令」で危うく金子侑の未来を危うくしかけた伊原監督だったが、浅村の未来を作ったことに関しては花丸をつけたい。


◎元ショートが支える明日の西武


 プロ野球にはコンバートがつきもの。アマチュア時代から慣れ親しんだポジションで大成できるのが一番だが、そうそう甘い世界ではない。そんななか、慣れ親しんでいないポジションで成功するのは、それ以上に難しいことだと思う。

 そう考えてみると、今回挙げた3人はとてつもない仕事をしているのではないだろうか。グッと上向いた西武のチーム状況を鑑みると、3人のうち1人でも欠けていたら今の快進撃はなかったのではないかとさえ感じる。

 金子侑と外崎は今季の終盤も、そして来季以降も活躍して、浅村のようにコンバート後の地位を不動のものにしてほしい。

 ちなみに、源田を含めて今回紹介した選手たちはすべてドラフト3位で遊撃手として指名されたという共通点がある。年齢は問わないようなので、今後も「西武」「ドラ3」「遊撃手」というキーワードは注目だ。


文=森田真悟(もりた・しんご)

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