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盗塁王・金子侑司も続け! 松井稼頭央、デストラーデ、平野謙。西武のスイッチヒッター御三家!

盗塁王・金子侑司も続け! 松井稼頭央、デストラーデ、平野謙。西武のスイッチヒッター御三家!

 9月19日の西武対ソフトバンク戦、スイッチヒッターの金子侑司(西武)の打席で面白い現象があった。

 マウンドにいたのが左投げのモイネロ(ソフトバンク)だったため、スイッチヒッターの金子は迷うことなく右の打席を選択。しかし3球目を投げたところでモイネロが降板すると、右投げの寺原隼人(ソフトバンク)がマウンドに上がった。

 投手が右腕に変わったことで、今度は左打席に入ったのだが、1度の打席でバッターボックスの左右を変えたことは、中学時代から始めたスイッチヒッター歴のなかでも初めての出来事だったそう。スイッチヒッターならではの珍事だった。

 西武にはこれまでにも数々の語り継がれる名スイッチヒッターを生み出してきた。そこで今回は「西武のスイッチヒッター列伝」として、歴代の両打ち選手にクローズアップする。

史上最強のスイッチヒッターは二重人格?


 西武が生んだ最高のスイッチヒッターは、松井稼頭央(現楽天)で異論はないだろう。

 1994年のルーキー時代に、谷沢健一2軍打撃コーチ(当時)からのアドバイスを受けて両打ちに挑戦。3年目にレギュラー定着すると、4年目には早くも打率3割を達成するなど、非凡過ぎる才能を見せつけた。

 安打だけでなく本塁打も年々増やしていき、9年目の2002年には日本人スイッチヒッターとして初の30本塁打超え(36本塁打)を達成。さらに打率.332、33盗塁でトリプルスリーもやってのけるなど、スイッチヒッターの完成形といえる活躍を見せた。

 また、松井の両打ちの特徴は、左と右それぞれの打席で人格を変えるところ。右打席では本能を大切にし、左打席では理性を働かせているという。

AKD砲の「D」を担ったカリブの怪人


 西武の「最強助っ人」を語るうえで、カブレラとともに名前が挙がるのがデストラーデ。秋山幸二、清原和博とともに西武黄金時代のAKD砲を形成した両打ちの強打者だった。

 1989年、バークレオの不振を補うべくシーズン途中で西武に加入すると、デビュー戦であいさつ代わりの本塁打を放つ。その後も左右両打席からアーチを量産し続け、西武時代の4年で合計154本塁打を記録し、本塁打王も3度獲得した。

 1試合における左右両打席での本塁打は3度放ったことがあり、その記録は助っ人の記録としてはバナザード(元南海ほか)と1位タイで並んでいたが、その後、セギノール(9度、元日本ハムほか)に抜かれてしまった。

 ちなみに現在の指揮官である辻発彦監督とデストラーデは仲がよかったようで、遠征先でカラオケなどに興じた模様。


打線の潤滑油になったバイプレーヤー


 デストラーデとともに黄金期を支えた選手のなかに、もう1人、名スイッチヒッターがいる。西武黄金期のオーダーを当時の野球ファンは1番から順に「辻、平野、秋山……」と呪文(?)のようにスラスラと口にしたものだが、その文句でもおなじみの平野謙だ。

 もともとは1977年にドラフト外で中日に投手として入団した平野。2年目の春季キャンプでコーチから外野手転向を勧められると、一旦は固辞したものの、自信を持って投げたストレートを弾き返されたことで、助言を受け入れ野手の道へ。

 3年目から両打ちに挑戦し、あわや戦力外通告という危機を乗り越えながら、4年目からは1軍に定着。結果を残し始めた。

 1987年オフには、西武の森祇晶監督(当時)の希望により中日から移籍。トップバッターとクリーンアップをつなぐ2番として定着し、小技と好打が光るスイッチヒッターとして存在感を発揮した。

 ちなみに、平野の奥さんが埼玉県生まれだったことから、地元の球団に入ることを喜んだそう。

 松井やデストラーデのような派手さはないが、当時のプロ野球史上最多となる451犠打(川相昌弘[元巨人ほか、現巨人3軍監督]が記録更新)という大記録も打ち立てた職人的名選手だった。


御三家から四天王になるために


 見事なまでに歴史的なスイッチヒッターが所属していた西武。かつては赤田将吾(現西武2軍コーチ)、現役では熊代聖人もチャレンジしたことがあった。

 簡単なことではないためリスクもあるが、成功したときの見返りは十分すぎるほどに大きい。だからこそ「両打の夢」を追いたくなるのだろう。

 そんななかで、目下の注目株と言えばやはり金子侑。27歳にしてスイッチヒッター歴10年を超える現役選手など、滅多に見られるものではない。昨季獲得した盗塁王に飽き足らず、バットでもタイトルを目指して「西武のスイッチヒッター御三家」に割って入るような選手になってほしい!


文=森田真悟(もりた・しんご)

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