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壁が厚い2部3部の戦いに対して、流れを掴んだ4部・一橋大が3部・上智大を撃破し昇格決定!

 先週は、東都大学リーグの1部2部入替戦のレポートをお送りしたが、今週は続いて行われた、2部3部と3部4部の入替戦の模様を紹介したい。


●2戦連続完封勝利で2部の意地を見せた東農大!

 4季連続最下位となった東京農業大に対するのは、近年も2部でプレーし、3部優勝の常連である大正大。

 初戦は東京農業大が10−0と大正大を圧倒。今泉雄太(3年・筑陽学園高)の満塁弾、藤岡康樹(2年・富山商高)の2ランなど、先発全員安打となる13安打の猛攻。投げては小島康明(4年・下妻二高)が4安打完封と力の差を見せつけた。


▲完封勝利を挙げた小島(東京農業大)

 2戦目の先発は東京農業大が谷川昌希(4年・筑陽学園高)、大正大は金子弥聖(1年・専大松戸高)。

 初回こそ三者凡退で攻撃を終えた大正大だったが、2回には1死から松本昌也(2年・宇都宮清陵高)が内野安打で出塁し、暴投で二塁へ進む。先制のチャンスを作ったが、後続が倒れて得点には至らなかった。その後も3回から3イニングス連続ヒットで走者を出すが、ホームは遠い。

 5回に試合が動いた。
 三者凡退が続いていた東京農業大はヒットと野選でチャンスを作る。犠打失敗で、ランナーを送ることができず、嫌な流れではあったが、外間正伍(3年・興南高)の三塁打で先制した。レフト前へ落ちるか、落ちないかという打球に、レフトがダイレクト捕球を試みるが届かず、打球を後ろに逸らすラッキーな攻撃だった。

▲先制2点タイムリー三塁打を放ち、サードへ滑り込む外間(東京農業大)

 そして、6回にも1点を追加した東京農業大は、8回に2死一、二塁というピンチを招き、ヒットを打たれるが、好返球により二塁走者を本塁で刺す。大正大に得点も反撃の余地も許さなかった。

▲敗れはしたが、2試合3安打と印象を残した松本(大正大)

 9回、マウンドには2番手の平峯裕士(4年・鹿児島南高)が上がった。先頭打者にヒットこそ浴びるが、後続を抑えて試合終了。3−0で東京農業大が勝利し、2部残留を決めた。4年生投手で2試合連続のシャットアウト、2部の意地を見せた。

▲8回無失点で大学最後の登板を飾った谷川(東京農業大)


●春と同じ対戦カードでリベンジ成功!

 3部最下位の上智大と、4部優勝の一橋大で争われた入替戦。この顔合わせは春と同じで、その時は上智大が2連勝で残留を決めている。

 初戦は上智大が梅村駿(2年・厚木高)、一橋大は日下部匡彦(3年・洛星高)の先発で幕が開いた。

 3回、一橋大は先頭の井川昌潤(4年・都青山高)がヒットで出塁し、犠打と内野ゴロの間に三塁へ達する。そしてバッター里吉大樹(1年・県浦和高)に投じた初球が暴投となり、井川が先制のホームを駆け抜けた。

▲先制のホームを踏んだ井川(一橋大)はベンチ前で仲間とハイタッチ

 その直後、ヒットで出たランナーエラーなどもあって1死三塁のピンチとなるが、後続を断ち切って凌いだ。

 だが5回、上智大は山口慶人(1年・県前橋高)が四球を選んで出塁すると、犠打で1死二塁。続く安藤旭日(2年・厚木高)がレフトへタイムリーを放って同点に追いついた。さらに安藤が盗塁を決め、2死二塁。ここで迎えた小野木資(1年・麻溝台高)の打球はサードへのボテボテのゴロ。文字力(3年・筑波大付高)が素手で捕って一塁へ送球。一塁手の前野統馬(1年・洛星高)が思い切り体を伸ばして捕球、間一髪のタイミングでアウトとなり、勝ち越しは許さなかった。

 一橋大のピッチャーは6回から倉石知輝(2年・世田谷学園高)に交代。この倉石が上智大打線に付け入る隙を与えないピッチングを見せる。許した走者はエラーで出した1人だけで、このランナーも牽制で刺すなど4イニングスを毎回3人で抑えた。

 攻撃陣は8回、1死から里吉が二塁打を放ち、続く前野も死球で出塁。一打勝ち越しのチャンスも、相手の好守にはばまれて得点には至らなかった。

 しかし、倉石の好投が相手に流れを渡さない。9回、上智大はピッチャーが2番手の加藤雄幸(4年・宇都宮高)にスイッチ。1死から井川が二塁打で出塁すると、続く坂手一角(3年・都日比谷高)が二遊間を抜ける当たりを放つ。井川は一気にホームを陥れ、サヨナラのホームを踏んだ。

▲サヨナラ勝ちに沸く一橋大。生還した井川をナインが出迎える


▲8回1失点の好投も、白星を逃した梅村(上智大)

 2−1という接戦を一橋大が制し、3部昇格に王手をかけた。

 翌日も最後まで勝負の行方がわからない試合となった。
 1−2と一橋大がリードを許して迎えた3回。1死満塁から文字力(3年・筑波大付高)のタイムリーで同点とすると、続く黒崎将平(2年・都国立高)のタイムリーで2者を迎え入れて勝ち越しに成功。4回にも1点を追加して上智大から3点のリードを奪った。

 だが4部降格の土俵際まで追い込まれている上智大もこのままでは終わらない。
 8回、一橋大の2番手投手・前野から1点を返し、9回にも大きなチャンスを作って攻め立てる。

 2つの死球で1死一、二塁とすると、捕手が少しボールをこぼした隙をついてそれぞれ進塁。2死二、三塁と変わり、バッターは吉田直樹(3年・逗子開成高)。この吉田が追い込まれながらもライト前へタイムリーを放ち、1点差。

▲1点差に詰め寄るタイムリーを打った吉田直(上智大)はガッツポーズを見せる

 なおも2死一、三塁として、次打者が死球で満塁に。サヨナラのチャンスは広がるばかりだったが、続く打者がサードゴロでゲームセット!

▲最後までリードを守り抜いた前野(一橋大)。一塁の守備では好守を連発してチームを救った


▲一橋大3部昇格の瞬間。一打サヨナラのピンチもしっかりしのいだ

 一橋大が平成23年春以来となる、3年ぶりの3部昇格を決めた。涙を流す選手もおり、試合後はスタンドで声援を送ってくれた応援団の目前で挨拶を交わし、3部昇格の喜びを分かち合った。


 春季の入替戦はすべて残留だったが、秋季は1部2部と3部4部で入れ替わった。昇格・降格した各大学は新チームとなってどんなシーズンを迎えるのか。昇格した専修大と一橋大は4年生の置き土産を大事にできるか、一方で降格した青山学院大、上智大はそこで落ち着かないように、1シーズンで復帰するべく、新たなスタートを切っていきたい。


■ライタープロフィール
山田沙希子(やまだ・さきこ)/東京都出身。早い時期から東都大学リーグの魅力にハマり、大学生時は平日の多くは神宮球場または神宮第二球場に通い詰めた、三度の飯より東都大学リーグが好きなライター。多くの東都プレイヤーの取材を通して、さらに東都愛は加速。ナックルボールスタジアム主催のイベント「TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会〜」でも活躍。

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