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今季も神宮が盛り上がる! プロ野球を伝える「声の主」スタジアムDJパトリック・ユウさんが登場!!

2016-03-22(火)12:00

「ゴーゴー、スワロォォォズ!!!」

「レッツゴォォ、ヤスシィィィ!!」

 いよいよ、プロ野球の開幕が迫ってきた。選手たちが開幕戦に向けて心身のコンディションを高めていくように、ファンもまた新たなユニフォームをそろえたり、新入団選手の応援歌を覚えたりと、忙しくも楽しい日々を過ごしているはずだ。何しろ、今この時期はどの球団も「優勝候補最右翼」。だからこそ、スタートダッシュのためには応援の力は欠かせない。


 昨季、そんな応援の力を背に14年ぶりにセ・リーグを制したのが東京ヤクルトスワローズ。そして、そのスワローズの「応援力」を支えている人物こそ、スタジアムオフィシャルDJを務めるパトリック・ユウさんだ。プロ野球を影で支える「声の主」たちの生き様を描くこのコーナー、今回は「スタジアムDJの裏側」に迫ります。

◎時にはファンと抱きつきながら、のDJスタイル


◎時にはあえて黙る。それもまたスタジアムDJの役目


 パトリック・ユウさんがアナウンスをしている場所は、神宮球場右翼側、内野席と外野席のちょうど中間地点にあるスペース、通称「ブリッジ」だ。

「僕がDJを始めたのが今から9年前の2008年。当時3歳くらいで『かわいいねぇ』と頭をなでていた子がもう小学校高学年のお姉ちゃんですから。それでも、変わらず僕のところに挨拶に来てくれるのが嬉しいですね。他にも、彼女ができました、結婚しました、今度転勤になりますetc.. 日々DJをしながら、馴染みのファンの皆さんからそういった報告を受けることもあります。そのくらい、ファンと近い場所にあるDJブースです。去年の優勝シーンのような劇的な場面があれば、もうファンと抱き合いながらDJすることもありますよ」

 当初は場内の放送ブースでアナウンスをしていたパトリックさんだったが、自ら「僕は外でしゃべりたい」と提案し、この特設DJブースが設置されるに至ったという。

「やっぱり、試合中ならではの“空気”を大事にしたいんです。何でもかんでも気合いを入れて喋るんじゃなく、ここはあえて喋らないほうがいい、といった空気感のときもあります。主役はあくまでも野球であり、選手。僕の声はあくまでも盛り上げ役ですから」


◎運命的だった神宮球場のスタジアムDJ就任


◎センター“バスクリン”ホームラン!


 パトリックさんの「声」は、今では神宮球場には欠かせない存在だ。だが、就任以前から、パトリックさんは神宮球場に縁があった。生まれたのが神宮球場のある東京・千駄ヶ谷なのだ。

「小学生の頃に関西に引っ越しましたので、黄色いチームを応援していた頃もありましたが(笑)、それまではずっと神宮球場を見て育ちました。東京に戻ってから改めてスワローズを応援するようになり、神宮にもよく通っていましたよ。古田監督時代、東京音頭ヘビメタバージョンで踊るダンスコンテストがあって、優勝者にはゴールドの傘がもらえるということで、本気になって踊ったことがあります。結局、選ばれなかったんですけど(笑)。それだけに、神宮球場のスタジアムDJとしてお声がけいただいた時は本当に嬉しくて、ドキドキしっぱなしでした」。

 そんな緊張からか、2008年のオープニングゲームではある“しくじり”をしてしまう。

「忘れもしません。2008年デビュー戦での試合冒頭。守備に就く選手を紹介するアナウンスで、セカンドの田中浩康(ひろやす)選手のことを「ヤスヒロ!」と紹介してしまって、田中選手がコケそうなシーンがありました。いきなり、やっちゃいましたね(笑)」

 2013年、バレンティンがシーズン本塁打記録(最終的に60本)をかけ、神宮の空に花火を打ち上げまくっていた際には、こんな“迷DJ”も生まれている。

「バレンティン選手がセンターバックスクリーンに当たる凄いホームランを打ったシーンで、なぜか僕の口から「行ったぁ! バスクリン!!」という言葉が出てしまったんです。でも、僕以外はまわりのスタッフの誰も気づいませんでした。要は、それくらい凄いホームランだった、と(笑)」。


◎バレンティン=ココ、はこうして生まれた!


◎ファンから始まった「レッツゴォォ、ヤスシィィィ!!」


 バレンティンにまつわる失敗談が出たが、今季のスワローズの展望を占う上で、パトリックさんがもっとも期待したいのは、昨季怪我に悩んだ「背番号4」だという。

「昨季の優勝打線に加えて、バレンティンが本調子になって畠山選手と4番争いをしたら、とんでもない打線になると思うんです。打線でキーになるのはバレンティンと、今季加入した坂口智隆選手。1番に定着してくれれば面白いですよね」

 ちなみに、バレンティンといえば「ココ」の相性でお馴染み。この呼び名を最初に使ったのはメディアではなく、パトリックさんだという。

「打席に立つとき、僕が選手名をアナウンスするんですけど、『ウラディミール・バレンティン』って長いじゃないですか(笑)。だから、なんて呼べばいいか? 本人に聞いたんです。すると、『ココと呼んでくれ』と。なんでも、ココナッツみたいな頭の形、ということで子供のころからお母さんにそう呼ばれていた。お!これは親しみやすいと思って、そこから、この呼び名が始まりました」

 他にも、試合終了後の「関東一本締め」、飯原誉士選手への「レッツゴォォヤスシィィィ!!」コールなどなど、パトリックさんのアナウンスがキッカケで定着したスワローズの応援スタイルは実に多い。

「いろんなところで、『ほら、レッツゴー・ヤスシ!の人だよ』と覚えていただけるようになりました。ありがたいですね。でも、元々はファンの方が使っていたコールなんです」

 パトリックさんがいる“ブリッジ”からほど近い、右翼席のタフマンの看板がある辺りで、飯原選手の登場曲がかかったときに「ヤスシ!」と声が挙がっていたという。

「いいタイミングで声があがるなぁと聞いているうちに、これに乗っかったら面白いかも、と。それで実際に取り入れてみたらスタジアム全体が乗っかってくれて、今の『ヤスシコール』になったわけです。

 また、こちらから仕掛けたものが川端慎吾選手の♪慎吾コール♪ ファンの皆んながノリノリで盛り上がってくれます!! そういうファン発信の応援もピックアップして、それをさらに大きなうねりに広げていく。そういったファンとのリレーションシップが、スタジアムDJの醍醐味でもありますね」

※3月29日(火)更新の次回へ続きます。

パトリック・ユウ:プロフィール
1968年、東京都生まれ。2008年より東京ヤクルトスワローズのオフィシャルスタジアムDJを務める。スワローズファン感謝DAYや新入団会見などのMCも担当。日本語と英語を織り交ぜたテンポの良い口調が人気を博す。背番号は通称「パット」から「810」


聞き手・構成=オグマナオト
1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務を経てフリーライターに転身。「エキレビ!」「R25」などでスポーツネタを中心に執筆中。『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』(新紀元社)、『高校野球100年を読む』(ポプラ社)では構成を、『漫画・うんちくプロ野球』(メディアファクトリー新書)では監修とコラム執筆を担当している。著書に『福島のおきて』(泰文堂)、『爆笑!感動! スポーツ伝説超百科』(ポプラ社)。Twitterアカウントは@oguman1977

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