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地方大会がアツい!野球太郎厳選のジャイアントキリング3本勝負!!

 日本全国各地で熱戦が続く高校野球地方大会。群馬大会では昨夏甲子園覇者の前橋育英が3回戦で敗退。埼玉大会では昨春センバツVの浦和学院が姿を消し、宮城大会では12年ぶりにベスト4を公立高校が独占するなど、「番狂わせの大物食い」が相次いでいる。

 戦前の予想に反して、格下とみられるチームが実力差を跳ね返して勝利する試合は痛快だ。そして、この番狂わせの大物食い=ジャイアントキリングは、高校野球の醍醐味の1つといえるだろう。そこで今回は『野球太郎』編集部が厳選した、近年の地方大会「番狂わせ」試合を振り返ってみたい。

2007(平成19)年/大阪大会決勝・金光大阪vs大阪桐蔭

 まずは強豪校がしのぎを削る大阪大会から。7年前の夏、当時の大阪桐蔭には夏の甲子園3年連続出場がかかっていた。激戦区・大阪では過去、桑田真澄(元巨人ほか)、清原和博(元西武ほか)が在籍した時代のPL学園だけが達成した大記録である。大阪桐蔭は2005年に辻内崇伸(元巨人)や平田良介(現中日)らを擁して甲子園に出場。2006年に続いて、2007年には最上級生となった中田翔(現日本ハム)が先輩たちの想いを引き継ぎ、圧倒的強さで決勝まで勝ち進んでいた。


▲当時はエースでもあった中田翔

 相手の金光大阪は過去3年間の公式戦で、大阪桐蔭と3度対戦して全敗。戦前の予想は当然ながら、大阪桐蔭の有利が囁かれていた。しかし、試合の方は初回に金光大阪が3点を先制。準決勝まで25回2/3を1失点に抑えていた中田がまさかの乱調。打線も金光大阪の左腕・植松優友(現ロッテ)の前に沈黙。土壇場の9回裏に2点を返すも、4−3で金光大阪が勝利し、大阪桐蔭の大阪3連覇は夢と消えたのだった。


▲この決勝戦で中田翔から3三振を奪った植松優友(写真は甲子園でのもの)

2003(平成15)年/神奈川大会決勝・横浜商大高vs横浜

 次は全国屈指の激戦区・神奈川大会の番狂わせを紹介しよう。当時、凄まじい戦力を誇っていた横浜高は、投手では左腕エースの成瀬善久(現ロッテ)、さらに2年生の涌井秀章が控えていた。野手では荒波翔や石川雄洋(ともに現DeNA)と、まさに高校生離れした実力を持つ、タレント軍団であった。

 さらにこのプロ予備軍を率いるのが、高校野球界きっての名伯楽・渡辺元智監督と、名参謀・小倉清一郎部長(当時)。戦前の予想では、横浜の圧倒的有利が伝えられていた。

 しかしこの試合も、初回に異変が起きる。1回表のピンチを凌いだ横浜商大高はその裏、成瀬を攻めて2点を先取。準々決勝の桐蔭学園高戦で延長12回を投げ、準決勝では東海大相模を完封した成瀬の疲労はピークに達していたのだ。その後、試合はジリジリと横浜が重圧をかけて4回に同点に追いつくも、横浜商大高は2回からマウンドに上がった涌井から6回に2点、7回に3点をもぎ取る。7対2と横浜商大高リードで迎えた9回表2死、横浜商大高のエース・給前信吾が荒波から空振り三振を奪ってゲームセット。下馬評で圧倒的不利といわれた横浜商大高ナインが、タレント軍団を撃破した瞬間だった。

2001(平成13)年/和歌山大会1回戦・和歌山工vs智辯和歌山

 「番狂わせ」は1回戦、初戦で強豪校が足をすくわれるケースも多いのが高校野球だ。2001(平成13)年の甲子園で春は準優勝、夏は優勝と輝かしい成績を挙げた智辯和歌山高が翌年の夏、和歌山大会1回戦で姿を消すという波乱が起こった。

 和歌山球史のみならず、高校野球史に残るジャイアントキリングを演じたのは和歌山工。組み合わせ抽選会で主将の山本芳彦(元広島)が、開会式直後の第1試合で智辯和歌山と対戦することをナインに告げても、冗談だと思われて誰も信じなかったという。

 試合は中盤まで両軍無得点が続く。均衡を破ったのは6回裏、和歌山工の攻撃だった。9番打者が二塁打を放ち、次打者が送りバント。しかし、一塁上で野手と走者が交錯してボールが転々とする間に、和歌山工が思わぬ形で先取点を奪い、その後も詰まった当たりながら安打を重ねて計4点。一方の王者・智辯和歌山ナインには次第に焦りが生まれる。8回表には武内晋一(現ヤクルト)のタイムリーで1点を返すも、その裏1点を失って再び4点差に。結局、5−1で和歌山工が勝利して、1996(平成8)年以来、5年連続で和歌山の夏の王者に君臨していた智辯和歌山高の歴史に、終止符が打たれたのだった。

「プレッシャーですよ。絶対に負けられない、勝って当たり前、というプレッシャーに押しつぶされたのです」と智辯和歌山・高嶋仁監督は回顧した


 大物食いを達成する勝利チームの実力以外にも、敗れ去った強豪チームならではの心理面も大きく作用して「番狂わせ」は生まれるのだろう。

(2014年7月27日/マイナビニュース配信)

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