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第3回 大学生ベスト10
〜ドラフト候補の注目ポイントはここだ

 10月25日に開催される今年のプロ野球ドラフト会議。このコーナーでは、会議の直前まで、全4回に分けて注目のドラフト候補たちを紹介しております。高校生打者編高校生投手編に続き、第3回目は大学生をピックアップし、独断と偏見まじりにランキング形式でとりあげます。

 昨年のドラフトでは“BIG3”と呼ばれた即戦力として10勝してもおかしくはないだろう3人の大学生投手がいましたが、今シーズンは三者三様に過ごしました。その中でも3球団が競合し、ロッテに入団した藤岡貴裕は初先発初勝利を挙げ、好スタートを切りましたが、一度2軍に落ちるなど不調もあり、6勝7敗という成績でシーズンを終えました。広島が単独で指名した野村祐輔は10勝には届かず9勝11敗でしたが、防御率1.98はセ・リーグ2位で、新人で防御率が1点台というのは46年ぶりと立派な成績を残しました。その一方で交渉権を獲得した日本ハムに入団しなかった菅野智之は、公式戦には出場できず東海大などで練習を積む一年を過ごし、再び今年のドラフト会議に身を委ねます。

 こういったことを踏まえると、大学生のドラフト1位候補と言えども、簡単に10勝できる即戦力候補と過度に期待するのではなく、長いスパンで大きな活躍を期待したい選手ととらえたほうがいいのではないでしょうか。

 今年の一番の目玉・東浜巨(亜細亜大)は今秋のリーグ戦では第6週終了時で4勝(4完投1完封)無敗という好調ぶりで、タイプとしては野村祐輔に近いことから、どうしても即戦力の期待をしてしまいます。しかし、右ヒジに故障経験があり、一時は社会人入りを検討したほどなので、目玉と言えども、1年目から過度な期待は控えたいものです。

 …と悲観的な言葉が並んでしまいますが、プロの水に慣れれば、近いうちにチームを支える選手になりそうな面々が他にもそろっています。特に今年の大学生は個性が光る選手が多いので、惜しくもランク外になってしまった選手でも、チームにフィットすれば、いい働きをみせてくれることでしょう!

 ここに掲載した選手や、それ以外の選手のさらに詳しい情報が知りたい方は現在書店で発売中の『野球太郎No.001 2012ドラフト直前大特集号』をお読みください。総勢370名ものドラフト候補と有望選手が掲載されております。
 それではランキングの発表です。


【第1位】
東浜 巨(Nao Higashihama)
(亜細亜大/投手/右投右打/181cm73kg)


■どんな選手?/“ヒットになりにくいボール”を“ヒットになりにくいポイント”へ、“ヒットになりにくいように”投げきれる投手だ。ヒットになりにくいボール、つまり質のいいボール。ヒットになりにくいポイントへ、つまり打者のバットが届きにくいポイントへ決められる精密なコントロール。ヒットになりにくいように、つまり打者にフルスイングさせないように微妙にタイミングを外しながら。
■ここを買いたい/今のプロ野球のエースでいえば三浦大輔(DeNA)のように、終わってみれば勝っている投手。なかなか負けない投手。長いシーズンを戦うプロなら、なおさらありがたい能力だ。特にこの2シーズン、150キロのような派手な数字が出なくなってから、逆に東浜の底の深さを感じるようになった。こいつで負けたら仕方ない。そう思わせるのがエースの資格。

【第2位】
伏見 寅威(Torai Fushimi)
(東海大/捕手/右投右打/182cm87kg)


■どんな選手?/高校生に怪物がいて、学生球界にも怪物、豪腕が居並ぶ今年のドラフトで、チーム事情を考えれば、「この捕手が一番ほしい」が本音のチームがいくつもあるのではないだろうか。チーム(東海大)では菅野智之とバッテリーを組み、大学日本代表では主軸を担いながら、苦汁もなめてきた。多くの体験が彼のプレーと人間性に厚さと深みを加えてきた。
■ここを買いたい/練習、実戦の区別なく、いい声をいい言葉を発信できるチームリーダーとしての資質。「猛肩」ではないぶん、スピーディーさが増したスローイング。捕手としての能力はここ数年で考えてもトップ。それに加え、バッティングもよくなり、センターから右中間へ打球方向も広がってきた。

【第3位】
菅野 智之(Tomoyuki Sugano)
(東海大/投手/右投右打/185cm86kg)


■どんな選手?/思い出してみよう。コンスタントに150キロ前後をマークする剛速球に、打者はそれと気づいていないかもしれない140キロ前後のカットボール。スライダーにフォークに、50キロの球速差を生み出す落差の大きなカーブ。そして、それらの持ち球にほんの少しの握りのサジ加減によって無限のバリエーションを与えようとする貪欲さ。気になっているのは、試合観戦に訪れる時の彼の表情の穏やかさだけだ。
■ここを買いたい/とても用心深い投手だと思う。だからこその球種の多さ、だからこその旺盛な向上心。用心深さは投手の“インテリジェンス”だ。

【第4位】
福谷 浩司(Koji Fukutani)
(慶應義塾大/投手/右投右打/183cm95kg)


■どんな選手?/2年時に150キロ台マークの剛腕。落差の大きなカーブは打者の間合いをスッと抜ける上に、心理までも揺さぶれる相乗効果がある。理工学部に籍をおく頭で、独自の「投の世界」を構築しながら、プロでの自己実現を目指す。彼の個性に興味を持てる指導者との出会いを祈りたい。
■ここを買いたい/ストライクゾーンの両サイドにコントロールされたストレートが微妙に動く「クセ球」はレベルが上がるほど有効になる。結果として、ほとんどカットボールだし、ツーシームだ。

【第5位】
小川 泰弘(Yasuhiro Ogawa)
(創価大/投手/右投右打/171cm79kg)


■どんな選手?/学生球界の「小さな大投手」。そこまで言い切れるのは、高次元の投球と強靭なハート、無類の負けじ魂、追い込んだ練習を続けられる精神性。体感速度なら150キロ近いストレートにスプリット、チェンジアップなど6種類の変化球でとことん攻める投手。
■ここを買いたい/左ヒザを胸まで、つま先を頭の高さまで上げるフォームでリリースを見せない。上背以上の角度を感じる理由はこれだ。そして、このフォームを初回から9回まで続けられる下半身の充実も見逃せない。


【第6位】
宮川 将(Syo Miyagawa)
(大阪体育大/投手/右投右打/183cm83kg)
■ここを買いたい/2季連続のMVPを獲得した今春。「ワシが宮川じゃい!」の気迫がほとばしった。アバウトな制球は確かに残る。しかし気持ちで投げる投手獲得急務の球団はいくつもあるはず。球速帯141〜145キロの速球とタテ横のスライダーは即戦力だ。

【第7位】
佐藤 峻一(Syunichi Sato)
(道都大/投手/右投右打/179cm71kg)
■どんな選手?/北海道学生球界では過去最高の快腕と見る。球速帯138〜145キロの速球は、打者の反応を見る限り、優に140キロ後半の体感スピードになっているはず。スライダー、カットボール、フォークの「飛び道具」、これがまた鋭い。間違いなく「プロの球質」だ。

【第8位】
白崎 浩之(Hiroyuki Shirasaki)
(駒澤大/遊撃手/右投右打/183cm87kg)
■どんな選手?/今春のリーグ戦では4割近い高打率で首位打者を獲得。打席に余裕が感じられ、コンスタントに安打を重ねた。逞しさとしなやかさを兼備した精悍なユニホーム姿と、走攻守のダイナミックなプレースタイルは華がありスター性十分。抜群のスピンで伸びるスナップスローは精度も高い。

【第9位】
松葉 貴大(Takahiro Matsuba)
(大阪体育大/投手/左投左打/180cm77kg)
■ここを買いたい/2年春からエース格で投げ続け、大きな故障もなかったが、腕の振りにいつものキレ味が見られなかった今春。それでもスライダーやシンカーを両サイドに沈めながら何とかしのいだ。細身でもこういう「強さ」は高ポイント。我慢強さや自己管理能力があり、調子なりに試合を作れる資質は貴重。

【第10位】
古本 武尊(Takeru Furumoto)
(龍谷大/右翼手/右投左打/175cm77kg)
■どんな選手?/鋭い軸回転であっという間に一、二塁間を破り、抜群のインパクトの強さで左翼フェンスまで飛ばす。内角の140キロ級にも対応できるスイング軌道に、プロで長く3割が打てる資質と、守備面では犠飛を許さぬ「猛肩」。強烈なプロ志向がプレーに漂う。

 以上、10位まで「大学生ベスト10」でした。今回はランクインしませんでしたが、亜細亜大の?田知季、國學院大の谷内亮太、中央大の鍵谷陽平、立命館大の金子侑司など楽しみな選手がいますので、続きは『野球太郎No.001 2012ドラフト直前大特集号』でお楽しみください。 次回が最後となります、「社会人ベスト10」です。お楽しみに。


監修=安倍昌彦…有望アマチュア投手の球を実際に受けてレポートする球界唯一の手法で一躍注目を浴びる。現在は『野球太郎』などで執筆する傍ら、テレビやラジオのゲストとしても活躍中。(この記事は『野球太郎No.001』の記事を再構成したものです)

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