週刊野球太郎
中学、高校、プロ・・・すべての野球ファンのための情報サイト

今秋ドラフト最大の隠し玉!?東農大・山下祐輝は、なんと公式戦未登板のドラフト候補だった!

【この記事の読みどころ】
・昨年、公式戦では2試合登板の薮田和樹が指名されたが、それを上回る公式戦未登板のドラフト候補・山下祐輝!
・187センチの長身から投げ下ろすストレートは威力あり! まだ伸びそうなポテンシャルにも期待!
・社会人内定も無く、いまは「プロ一本」で勝負をかける!


 10月22日に開催されるプロ野球ドラフト会議。大学生選手は、81名がプロ志望届を提出した。この中にはNPBだけでなく、国内独立リーグ入団希望の選手も含まれるが、東京農業大の右腕・山下祐輝(4年・人吉高)はれっきとした「NPB志望」だ。

 だが、その山下の公式戦登板は、4年前の高校野球熊本大会まで遡らなければならない。なぜなら、東都大学2部リーグの4年間で山下は一度も公式戦登板はなかったのだ。

▲187センチの長身から投じる最速144キロのストレートに、スライダー、カットボール、ツーシームなどを織り交ぜる山下。その潜在能力は誰もが認める。(写真・高木遊)

★1番期待されていた投手

「この学年で1番期待していた投手は山下でした」と語るのは、東京農業大を率いる福地日出雄監督。

 近年は2部リーグ最下位に沈むことも多かった東京農業大だが、今秋は2位に浮上(※勝ち点制で優勝ならずも、勝率のみなら1位)。

 強豪社会人チームへの内定が出ている幸良諒(4年・興南高)と村田健(4年・ルーテル学院高)の両右腕の活躍が大きかったが、入学当初はその2人以上に期待されていたのが、山下だった。

 山下は豊かな自然溢れる熊本県人吉市の出身。小学校時代は投手だったが、中学時代は三塁手。地元の人吉高で投手に再転向したものの、ストレートは116キロしか出なかったという。しかし、高校3年間で急成長を遂げ、身長は187センチに、ストレートの球速は140キロを超えるまでになっていた。

 その成長曲線をそのまま伸ばしていきたかったものの、大学入学後は伸び悩んだ。のんびりとした穏やかな性格の山下に対し、本人も周囲も「尻に火がつくのが遅かった」と口を揃える。

 一方で、その潜在能力は高く評価されていた。4年のシーズン開幕前までには、約半数のプロ球団スカウトが、公式戦で1球も投じていないこの右腕を視察に訪れ、「ハマった時のボールは面白い」と一定の評価を得ていた。


★大成は2年後?

 ラストシーズンとなるはずだった今秋、山下の名前は部員名簿から外れた。リーグ戦での起用も考えていた福地監督だが、夏の大事な時期に山下の爪が割れてしまう。また前述の同期右腕2人も好調だったため、可能性の低くなったリーグ戦出場のチャンスを手放す代わりに、「プロ入りへのラストチャンス」に賭け、プロ志望届と同時に退部届を連盟に提出。各球団の入団テストを受験していった。

「悔いは残したくなかった」と話す山下。結果は芳しくなかったが、既に調査書が届いている球団もある。

「ヒジ・肩ともに柔らかくて、球質もいい。もっと前から今の取り組みをしていれば……と思うこともありますが、2年後あたりに化ける可能性はあります」

 と福地監督は、ようやく目覚めかけてきた逸材の本性に期待をかける。

 今のところ、社会人チームからのオファーも無い山下。野球人生を賭けた運命のドラフト会議まで、あとわずか。

山下祐輝(やました・ゆうき)/187センチ76キロ。右投右打。熊本県人吉市出身。人吉高——東京農業大4年。(写真・高木遊)


文=高木遊(たかぎ・ゆう)
1988年、東京都出身。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。大学野球を中心にアマチュア野球、ラグビー、ボクシングなどを取材している。高木遊の『熱闘通信(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/buaka/)』随時更新中。twitterアカウントは@ you_the_ballad (https://twitter.com/you_the_ballad)

記事タグ
この記事が気に入ったら
お願いします
本誌情報
雑誌最新刊 野球太郎No.32 2019ドラフト直前大特集号 好評発売中
おすすめ特集
2019ドラフト指名選手一覧
2019ドラフト特集
野球太郎ストーリーズ
野球の楽しみ方が変わる!雑誌「野球太郎」の情報サイト
週刊野球太郎会員の方はコチラ
ドコモ・ソフトバンク
ご利用の方
KDDI・auスマートパス
ご利用の方