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職人・砂川哲平がビッグプレー! 駒澤大が13年ぶりの日本一!

◎第45回記念明治神宮野球大会
大学の部決勝(神宮球場/11月19日)


▲駒澤大、日本一で歓喜の輪



バッテリー
【明】●山?、柳−坂本
【駒】東野、◯今永−高橋亮


☆勝敗分けた砂川の果敢な盗塁

 直近の4季中3季、東京六大学リーグを制しているものの全国大会では栄冠を得られていない明治大と、13年ぶりの東都大学リーグ優勝に続いて明治神宮大会も制して、さらなる名門復活を印象づけたい駒澤大の一戦は、白熱した投手戦となった。

 明治大の先発はエースの山?福也(4年・日大三高)。ドラフト1位指名をしたオリックス・森脇浩司監督も見守る中、得点圏に走者を出しながらも駒澤大打線にホームは踏ませない。

 一方の駒澤大は、「終盤勝負」と踏み、先発に抜擢した東野龍二(1年・履正社高)が5回まで明治大打線を無安打に抑える快投で、両チーム無得点のまま試合は、後半戦へ。

 そして6回、駒澤大にビッグプレーが生まれる。

 6回裏、0−0の膠着した展開が続く中、駒澤大は先頭の砂川哲平(4年・明豊高)がセンター前安打で出塁すると、犠打で二塁に進み、2死二塁。打席には、阪神からドラフト3位指名を受けた4番・江越大賀(4年・長崎海星高)。

 駒澤大は5回裏のチャンスで東野に代打を送るも無得点。6回表からエース・今永昇太(3年・北筑高)が登板していただけに是が非でも先制点が欲しいところ。

 ここで砂川が1ボールからの2球目に三盗。この果敢な盗塁には、駒澤大・西村亮監督も思わず大きく手を叩いた。実はこの盗塁、ノーサインだった。

 「自分もショートやセカンドをしてきたので、相手二遊間の動きで、牽制がくるかこないかがわかるんです」と三盗のコツを大会前に教えてくれた砂川が、どうしても相手チームが打者に集中する場面で大仕事をやってのけた。

 すると、江越はショートゴロだったが、打球が緩かったことと、江越の足を考えて慌てたことで、明治大一塁手・石井元が送球を落球してしまう。これで砂川が生還し、駒澤大が先制。

 8回にも江越の2点タイムリーでダメ押すと、今大会1失点のみだった今永が最終9回もしっかり抑え、東野と完封リレーを達成。

 今永、江越という投打の大黒柱に加え、職人肌の砂川ら多くの選手が見事に力を発揮した駒澤大が、見事13年ぶり5度目の日本一に輝いた。

☆西村監督、就任3年目で歓喜の涙


 「おまえら、すごいぞ!!」

 ヒーローインタビューで、駒澤大・西村亮監督はそう言って選手たちを祝福した。インタビュー中には「大学関係者、OB……いろんな方の想いが詰まった優勝です」と涙で言葉が詰まるシーンもあった。

 2012年春、優勝から長く遠ざかっていた母校の監督に就任。2013年の春にはリーグ優勝まで「あと一歩」と迫りながら優勝を逃し、2013年秋には最下位に沈み、入替戦も経験。多くの辛苦を味わっただけに喜びもひとしおの様子だった。

☆「4年生主体でやらせてくれた」砂川

 緊迫した場面での三盗をやってのけた砂川は「僕には常に、“(盗塁は)行けたら行っていい”という決まりになっているので、江越の足を考えたら、三塁まで行った方が得点のチャンスは大きいと思いました」と殊勲の走塁を振り返った砂川。

 指揮した西村監督には、「選手から意見が言いやすく、選手に任せる形でやってくれたので、4年生がしっかり主体となってチームを引っ張れました」と感謝の気持ちを述べた。

 卒業後は今秋の社会人日本選手権で準優勝したセガサミーに進むことが内定している砂川。「この経験を社会人でも生かしたい」と話し、更なる飛躍も誓った。

▲4兄弟で8度の甲子園出場という「野球一家」(次男が哲平、四男の修は沖縄尚学高で今夏含め甲子園3季連続出場)で生まれ育った砂川が、その野球勘を遺憾なく発揮した。


■プロフィール
取材・写真・文=高木遊(たかぎ・ゆう)/1988年、東京都出身。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。昨年は東都大学野球春・秋1部全試合を取材。大学野球を中心に、アイスホッケー、ラグビー、ボクシングなども取材領域とする。高木遊の『熱闘通信(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/buaka/)』随時更新中。twitterアカウントは@ you_the_ballad (https://twitter.com/you_the_ballad)

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