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プロ野球マスコットを「読む」〜ドアラ&つば九郎編〜

 楽しむべきはスポーツの秋か。読書の秋か……。「プレミア12」はあっても、通常のペナントレースがないこの時期、秋の夜長は長いもの。こんな時は野球関連書籍を読む絶好のチャンスでもある。

 とはいっても出版不況の折、よほどのスター選手でもないかぎり、本を出す機会にはなかなか恵まれない。そんな中、毎年のように上梓されているのが「球団マスコット本」だ。そこで今回から2回に分け、球団マスコットがらみのオススメ書籍を一気に紹介してみたい。まずはマスコット界をリードするあのコンビから。


先駆者にして多作なマスコット、ドアラ


 球団マスコットが本を出す……よくよく考えれば「誰が読むんだ?」とツッコミたくなる暴挙に最初に挑んだマスコットこそ、中日ドラゴンズの「未完の大コアラ」ことドアラだ。

 2006年頃から「自由すぎるマスコット」として注目を集め、雑誌『日経エンタティンメント!』が実施した「第2回勝手にエンタ!大賞」で「あまりに自由過ぎるで賞」を受賞したドアラ。これで勘違いをしたのか、2008年2月、『ドアラのひみつ かくさしゃかいにまけないよ』を上梓したのだ。

 この年は続け様に公式写真集『ドアラ☆チック』『ドアラの九州旅日記』を出版。また、本ではないがCDミニアルバム『ドアラのテーマ』、DVDソフト『ドアラのすべて』『ドアラの休日』を発売し、ドアラブームを巻き起こした。

 ドアラ本の一番の特徴はその数の多さだ。2008年以降も『ドアラのへや』(2009年)、『ドアラの愛した硬式 きおくにございません』(2014年)などを発売。2014年には『誰も知らなかったドアラ学』なるドアラ研究本まで登場している。このほかにも電子書籍専用『さいふをなくした』シリーズ、『コアラ坂』なども含めると数えきれない。

 この中で敢えて取りあげてみたいのが、恐らくもっとも知られていないだろう『ドアラの九州旅日記』。基本的には日記というよりも九州各地を舞台にした写真集。乗馬するドアラ、浴衣を着たドアラ、などなどシュールなシチュエーションも満載だ。


 それにしても名古屋を愛するドアラがなぜ九州を? という疑問が頭をもたげてしまう。ドアラ自身は本書の中で「そんなこと、気にしない気にしない」と綴るが、ひょっとして九州にあるあのチームへの移籍を希望している!?

予言の書も出していた!? プロブロガー・つば九郎


 「球界のご意見番」としておなじみのつば九郎、マスコット界屈指の「プロブロガー」としても有名だ。その多筆ぶりを活かして、さらにドアラに対抗する形で2009年に発売したのが『つば九郎のおなか しょくよくにまけました』。以降も、『みんなで、えみふる! 人生が楽しくなる80個くらいの言葉』(2012年)、『成鳥 つば九郎』(2014年)などを上梓。このほかにもDVDブックが世に出ている。

 ここで注目したいのが最初に出した『つば九郎のおなか』。実はこの本には、驚愕の“予言”が記されているのだ。本書「はじめに」の項目から、その「予言」を抜粋しよう(※全てひらがなのため、読みにくいのは悪しからず。つば九郎的には「ちきゅうにやさしい」「ちっちゃいおこさまにもよみやすい」本とのこと)。


《きゅうだんの えらい ひとたちが、くりびつてんぎょう、いや、びっくりぎょ〜てん するくらい、うれて、つばくろうのおなか、だい2だん、『つばくろうとまなか〜びーるだいすきのおとこたち〜』を、そしてだい3だん『つばくろうのせなか〜2ほんのしっぽにふれないで〜』をだしたいな〜…。》

 ここに出てくる「まなか」とはもちろん、真中満監督のこと。当時は2軍コーチだった男とつば九郎の“びーるだいすきのおとこたち”は、この本の発売から6年後の2015年、悲願のビールかけを実現した。

ドアラ&つば九郎は新たなステージへ


 さて、このドアラとつば九郎。近年は「コンビ芸」でも話題を振りまいている。ともにデビュー20周年を迎えた2014年、書籍ではないが『つば九郎&ドアラ 球界No.1マスコットは俺だ! 漢の十番勝負』なるコラボDVDを発売。お絵描き競争やスプーン競争、まくら投げなど、恐ろしいほどのユルい対決を繰り広げ、マニアの注目を集めた。

 これでこのお騒がせコンビが味をしめたのか、先日、「ドアラ&つば九郎 2015クリスマスディナーショー」という驚きの企画が発表された。名古屋観光ホテルの開業80周年記念企画だという。

 現段階で発表されている内容ではファッションショーに質問コーナー、さらにはトークショーまで。ともに筆談しかできない2体がいったいどんなトークを……。まさか歌う場面もあったりするのだろうか?

 日時はクリスマス当日の12月25日(金)、19:00〜21:25。料金はお一人様19,000円(クリスマスディナー、フリードリンク、サービス料、税金含む)。この舞台裏の奮闘記でまた本が一冊できそうな気もしてしまう。

 ちなみに、注意事項にはこんな気になる一文もあった。

「都合により、出演者が変更になる場合がございます」


文=オグマナオト(おぐま・なおと)

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