小島といえば昨シーズンまでは、1軍と2軍の間を行き来する、いわゆる“1軍半”選手であった。1軍では代走要員としての役割がほとんどだった。オリックスファンの認識は、足は速いが、打撃は非力な選手というイメージだ。
今年は5月14日に1軍登録され、いつものように代走で起用された。しかし、22日に代打でタイムリー安打を放つと、そこから小島の快進撃が始まる。24日のソフトバンク戦から2番・センターでスタメンに名を連ね、毎試合のように安打や四死球で出塁をする。6月に入ると西野真弘と打順が入れ替わり、1番・センターで起用され、リードオフマンの役割を与えられる。6月8日の中日戦で連続試合安打と出塁は途切れたが、17試合/55打数/19安打/打率.345/出塁率.400/5盗塁の成績を残している。
小島は50メートル5秒7という俊足を武器としている。6月7日の中日戦では、二盗を2つ記録し、存在感をアピールしている。また、2塁打を3本記録しているが、いずれも足で稼いだものだ。
小島は元々内野手だが、今は外野守備も練習しており、今回はセンターを任されている。センターだと、その俊足を生かせるポジションではないだろうか。
今季、スタメンでセンターを守った選手は、ブライアン・ボグセビック、宮崎祐樹、小田裕也、駿太、武田健吾、そして小島だ。当初はボグセビックが守っていたが、打撃不振のため降格。駿太もセンターを多く守ったが、同じく打撃の調子が上がらない。そこに打撃好調の小島がはまった形だ。
今回の打撃好調の要因として小島自身が語っていることは、宮崎キャンプでの逆方向へ意識したバッティング練習が、ここにきて花開いているという。足を生かすには、やはり出塁することが必要だ。小島がなんでもいいから出塁をし、塁を駆け回り、本塁へ還ってくる。その役割を果たすことができれば、オリックスの勝利に貢献することができる。
小島の今の活躍は、たまたま調子がいいだけなのか、それとも本物なのか。また、他の選手がレギュラーを取り返すことがあるのか。注目したい。
文=矢上豊(やがみ・ゆたか)
大阪在住の山本昌世代。初めてのプロ野球観戦は、今はなき大阪球場での南海対阪急戦と、生粋の関西パ・リーグ党。以来、阪急、オリックス一筋の熱狂的ファン。プロ野球のみならず、関西の大学、社会人などのアマチュア野球も年間を通じて観戦中。