シーズンのカギを握るといっても過言ではない外国人選手の起用法。球団別にその成否を診断していきたい。今回は中日とヤクルトを取り上げる。
(成績は9月12日現在)
■中日の外国投手
ロドリゲス/ジー/ガルシア/R.マルティネス
■中日の外国人野手
ビシエド/モヤ/アルモンテ/A.マルティネス
今年も中南米路線は継続。ビシエドは鬼神の如く打ちまくり、打率.353、25本塁打、94打点。昨季の物足りなさを吹き飛ばした。
さらにゲレーロの後釜として獲得したアルモンテも十分な活躍。モヤも打席数は少ないものの、打率3割を記録し、まったく遜色ない活躍を見せた。モヤは骨折で離脱中だが、アルモンテ、ビシエド、平田良介が欠場時に安定した打力で穴を埋めており、実に助かる存在となった。
投手陣でも1年目のガルシアが12勝を挙げており、発掘力は健在だ。
ただ、アテが外れたのはジー。メジャー通算51勝、推定年俸1億2000万円+出来高と決して安い買い物ではなかったが、開幕から4登板0勝3敗で故障離脱。血行障害で手術に踏み切り、大穴を開けた。
結局、先発陣はガルシア、吉見一起、小笠原慎之介、笠原祥太郎の4枚が軸で頑張ったが、小笠原が8月に左ヒジの手術で離脱。苦しいやりくりが続いている。
ジーの離脱に伴い、キューバ人左腕・R.マルティネスを育成から昇格させたが、まだ21歳で本格化は先。夏場からはロドリゲスがリリーフで投げているが、こちらも確固たる信頼を置ける状況にはない。
ただ、ジーが期待通りの活躍を見せていれば、構想自体にミスはなかった。ビシエド、アルモンテ、ガルシアの3人が残留するならば、来季は最後の1枚が肝になりそうだ。先発陣も不安だが、今季は守護神・田島慎二が30試合で防御率7.22の大乱調でリリーフ陣に歪みも。とにかく「頼れる投手」があと一人欲しい。
■ヤクルトの外国人投手
ブキャナン/ハフ/カラシティー/ウルキデス
■ヤクルトの外国人野手
バレンティン
野手はバレンティンだけ。心中の体制だったが、今年も30本塁打超えでまったく問題なし。課題は昨年恐ろしいほど崩壊した投手陣だ。
2年目のブキャナンはチームトップの160回1/3の投球回を記録。9勝10敗、防御率3.93は突出した成績ではないが、貴重なイニングイーターの役割を果たしており、役目は果たしている。
一方、カラシティーとハフは微妙な成績。カラシティーは28登板11先発で防御率4.50、ハフは26登板14先発で防御率5.25。リリーフと先発、どちらの適性も見えていない。
昨年の惨状を考えれば大健闘といえるヤクルトだが、ここに上積みの余地を残している。石山泰稚や近藤一樹、中尾輝が頑張っている間に先発陣を整備することも可能だ。
文=落合初春(おちあい・もとはる)