5月7日、京セラドームでの日本ハム戦。オリックスナインが、阪急ブレーブスの復刻ユニフォームを着て戦った試合だ。
試合は3対3の同点で延長戦へ。12回裏1死満塁で迎えた駿太の打席。何も考えずに打ったという打球は一、二塁間を破り、サヨナラ勝ち。連敗を4で止める殊勲打となった。
またこの殊勲打は、11回からの2イニングを投げた赤間謙にプロ初勝利をもたらす一打でもあった。
5月28日、ZOZOマリンスタジアムでのロッテ戦。2対1とオリックスがリードして9回裏に。ここでクローザーの平野佳寿が2死二塁からセンター前にヒットを打たれてしまう。
同点に追いつかれるかという局面で、センターを守る駿太は本塁へダイレクト返球。三塁を回った走者を余裕でアウトにしとめ、チームの窮地を救った。
この勝利でオリックスの連敗は9でストップ。先発のルーキー・山岡泰輔のプロ初勝利にもつながった。
5月31日、京セラドームでのヤクルト戦は1対1の同点で延長戦へ。10回裏、2死二塁で駿太が打席に入る。
積極的になんでも振ってやろう。そう心に決めていた駿太が振り抜いた打球は、右翼線を破るサヨナラ二塁打に。この試合の勝利投手は10回の1イニングを投げたルーキー・小林慶祐となり、プロ初勝利を挙げた。
駿太はこの日のヒーローインタビューで「駿太秋冬 絶好調!」と唐突に叫んだ。これはラジオ番組に出演した際に約束したことだそう。駿太本人は滑ったと感じていそうだが、なかなかいいのではないかと筆者は思う。何度もお立ち台に立って、このフレーズを浸透させてほしい。
ヒーローインタビューといえば、こんなことがあった。
4月27日の京セラドームでの西武戦。駿太は1打点を含む3安打猛打賞。9回にはサヨナラのホームを踏む活躍でヒーローとなった。
お立ち台に上がる駿太。ヒーローインタビューの最後に、勝利の決め台詞「勝利を頂き!」とファンと唱和しようとしたのだが、マイクの音声が入っていないというハプニングが発生。駿太のかけ声はファンに届かず、なんとなく締まらない終わり方になってしまった……。
しかし、これも駿太のキャラクターから「らしい」で笑って済ませられた、と思う。
攻守に活躍する駿太だが、課題は左投手を苦手としていることだろう。相手チームの先発が左投手なら、スタメンから外れるのが現状。なんとか対左投手の成績を上げたいところだ。
ファンは、駿太がセンターの不動のレギュラーになる日を待っている。
文=矢上豊(やがみ・ゆたか)
関西在住の山本昌世代。初めてのプロ野球観戦は、今はなき大阪球場での南海対阪急戦と、生粋の関西パ・リーグ党。以来、阪急、オリックス一筋の熱狂的ファン。プロ野球のみならず、関西の大学、社会人などのアマチュア野球も年間を通じて観戦中。