平成最後の春季キャンプもいよいよ終盤。12球団の選手たちによる、国内外で3月29日の開幕戦へ向けての調整やアピール合戦が始まった。
侍ジャパンのメンバー、FA組などなど気になる選手は山のようにいるが、前回の投手に続き、今回はルーキー野手にスポットを当てたい。ミレニアム世代を中心とした豊作のドラフトから、さらに輝きを見せるのは誰だ!?
今年の野手のルーキーというと、とかく根尾昂(中日)に目が行きがち。人気実力ともに2018年ドラフト組ではトップで異論はないが、現状の調整具合では大阪桐蔭高時代の戦友である藤原恭大(ロッテ)に軍配が上がる。
新人合同自主トレではインフルエンザにかかったものの、そこからしっかりと調子を取り戻し、2月14日の中日との練習試合で記念すべきプロ入り初ヒット。その後も2安打を放って、プロ初の猛打賞まで記録した。
井口資仁監督は「経験」を強調するが、ひょっとすると開幕スタメンまであるかもしれない。まだまだ始まったばかりとはいえ、藤原にはそう思わせる魅力がある。
浅村栄斗(楽天)のFA移籍で戦力低下が叫ばれる西武。「空いた3番に秋山翔吾が入るのではないか」など噂話が絶えないが、守備面での穴埋めを期待されているドラフト3位の山野辺翔(西武)が好調だ。
桐蔭学園高から二塁手一筋。自身と同じ守備位置・社会人出身ということもあるのか、辻監督は山野辺に目をかけ直接指導。期待の大きさが伝わってくる。
山野辺もその期待を自覚しており、志願の特守を行うなど気合十分。その際、憧れの源田壮亮からもアドバイスをもらった。開幕までどこまで伸びていくのか注目したい。
吉田輝星(日本ハム)の入団で賑う日本ハムの2軍キャンプ。夏の甲子園決勝で投げあった柿木蓮(日本ハム)とのブルペン共演など話題に事欠かないが、ルーキー野手も負けてはいない。
ドラフト2位の野村佑希(日本ハム)と4位の万波中正(日本ハム)が、キャンプ初日から競い合うかのように立て続けにフリー打撃を行った。
野村は感触を確かめるようなスイング、万波は高校時代を彷彿とさせる豪快なスイングを見せた。それぞれがしっかりとテーマを持って臨んでいることが伝わってきた。
高卒野手は、まずは育成して数年後……と言われているが、2人なら思った以上に早く1軍デビューを成し遂げるかもしれない。
前回の投手編に続き期待の野手を紹介したが、野手陣もあらためて粒揃いだ。とくに高校生は黄金世代だけに、ドラフト1位組の根尾、藤原、小園海斗(広島)だけでなく、2位以下にも次代を担う逸材が数多いる。その一方で、社会人出身の木浪聖也(阪神ドラフト3位)は、紅白戦、練習試合でヒットを連発。同じく社会人・大阪ガスから1位指名の近本光司も即戦力らしさや、実戦での嫌らしさをアピールしている。「社会人らしい生命力」で開幕一軍ならず、開幕スタメンの座も狙えそうだ。
“指名順位以上”と思わせる活躍を期待させる年。そう考えるだけで胸が躍る。キャンプからファンを楽しませるルーキーたちの今後に、幸多からんことを!
文=森田真悟(もりた・しんご)