ひとりは、ニューヨーク・メッツのテリー・コリンズ監督だ。2007年と2008年の5月までオリックスの監督として在籍。2007年は最下位に終わり、翌2008年も21勝28敗と負け越していた5月21日に、自ら辞任を表明している。
そして、その成績以上に注目されたのが、吉本興業に所属していた美魔女芸人・シルクとの熱愛報道だった。野球にそれほど興味がなくとも、そのニュースは記憶に残っている人もいるだろう。
日本を離れてから、2009年はWBCの中国代表の監督を務めるなどしたが、2011年からはメッツの監督に就任。昨年は9年ぶりの地区優勝、15年ぶりのリーグ優勝と、チームを久々の躍進へと導いた。今季も、主力選手が本来の実力を順調に発揮すれば、所属するアメリカン・リーグ東地区で首位争いを演じることだろう。
なお、1949年5月生まれの66歳という年齢はメジャーリーグ現役最年長監督でもある。
もうひとりは、パドレスのアンディー・グリーン監督だ。こちらはダルビッシュ有(レンジャーズ)がツイッターで「パドレスの新監督って日本ハムにいたあのアンディ・グリーンだよね?」とつぶやいたことでもおなじみ。
日本ハムには選手として2007年の1年だけ在籍し、三塁の守備について18試合に出場。打率.192(61打数12安打)と、期待されたほどの活躍はできずに、4月半ばには2軍落ちを余儀なくされた。その後は故障もあって2軍暮らしが長引き、シーズン終了を待たずに自由契約になっている。
なお、当時のダルビッシュは日本ハムで3年目のシーズン。エースとして君臨し、15勝5敗の好成績を残してチームのリーグ優勝に大きく貢献している。
このように、日本ではパッとしなかったグリーン監督だが、指導者として花開いた。現役引退後はマイナーリーグのコーチ、監督として経験を積み、2013、2014年と、2年連続でマイナーの最優秀監督に選出される。2014年はアリゾナ・ダイヤモンドバックスの三塁コーチ、そして今季からパドレスの監督に就任している。
開幕時はまだ38歳で、こちらは現役のメジャーの監督としてはタンパベイ・レイズのケヴィン・キャッシュ監督に次ぐ2番目の若さ。近年は低迷気味のチームを立て直せるかどうか、注目される。
過去に、NPBとMLBの1軍で監督を務めたのは、ボビー・バレンタイン、トレイ・ヒルマン(現ヒューストン・アストロズのベンチコーチ)、テリー・コリンズの3人のみ。
この人数がもっと増え、また、松井や野茂が日米で監督を務めれば、日米球界の技術向上や、ファンの拡大に大きく寄与するに違いない。そんな日がいつか来るのだろうか。
文=藤山剣(ふじやま・けん)