高卒の新人における最多本塁打は清原和博氏(当時西武)の31本塁打だ。1985年のドラフト1位で西武に入団した清原氏は、プロ2打席目で初本塁打をマークする。そこからレギュラーに定着し、126試合に出場。打率.304、31本塁打、78打点と高卒新人とは思えない結果を残した。
その清原氏に続くのが1953年に豊田泰光氏(当時西鉄)が放った27本塁打。高卒の新人で20本塁打を超えたのはこの2人だけだ。清宮が目標とする王氏も1年目は7本塁打に終わっている。また、松井秀喜氏(当時巨人)も1年目(1993年)は11本塁打。後にヤンキースで4番を打つことになるスラッガーも高卒1年目は「ゴジラらしい大活躍」とまではいかなかった。
とはいうものの、平成に入ってから高卒1年目で2ケタ本塁打を放ったのは松井氏だけ。現役の本塁打王、筒香嘉智(DeNA)は1本塁打(2010年)、中村剛也(西武)や山田哲人(ヤクルト)に至っては1軍出場すらなかった。
現実的なところで、まず清宮には「清原超え」の前に、「1年目の王、松井超え」を期待したい。しかし、1年目に打てなかったからといって悲観する必要はない。筒香や山田も1年目から1軍で結果を残すことはできなかったのだ。自主トレで右手親指を痛めた影響もあり、アリゾナキャンプで出遅れている清宮だが、無理をせずに調整をしてほしい。
清宮には清原の31本塁打、松井の11本塁打、王の7本塁打を目指してほしいが、そのためにはチーム内の競争を勝ち抜かなくてはならない。
報道では同じ一塁のレギュラー候補筆頭である中田翔が多く取り上げられているが、ライバルは中田だけではない。昨シーズン後半に1軍に定着した3年目の横尾俊建、ルーキーながら2軍で110試合に出場した今井順之助もいる。
また、栗山英樹監督は清宮を一塁以外でも起用することを示唆している。もし三塁に就くのであれば2016年の本塁打王・レアード、指名打者であれば4割に挑む近藤健介らが待ちかまえる。キャンプ、オープン戦で適性を見ながら栗山監督は起用法を決めると見られるが、どのポジションも乗り越えなければいけない「壁」は厚い。
チーム方針としては若手に2軍で打席数を与えることが多い日本ハム。しかし、2軍の一塁には前述の通り今井がいる。三塁では森本龍弥、高濱祐仁ら若手がレギュラーを競っている。1軍でレギュラーを張る実力をすぐに発揮できればいいが、そうならなかったときに栗山監督はどのような決断を下すのだろうか。清宮の起用法から目が離せない。
文=勝田聡(かつた・さとし)