伊藤は愛知県岡崎市出身だが、高校は高知県の明徳義塾に入学。2年からベンチ入り。2年の夏は高知大会決勝で高知商に、3年の夏は決勝で高知に敗れてしまい、甲子園への出場はかなわなかった。
2007年のドラフト3位でオリックスに入団。3年目の2011年に66試合に出場。翌年も66試合に出場し、2013年からは正捕手に定着した。2014年は最高の年で、ベストナイン、ゴールデングラブ賞、そして金子千尋と共に最優秀バッテリー賞を受賞した。
若月は花咲徳栄で1年秋からレギュラーの座を勝ち取った。3年春にセンバツ出場。2回戦で県岐阜商に敗れはしたものの、4番・捕手として本塁打を放つ活躍を見せた。その後18Uワールドカップ日本代表に選ばれる。
2013年のドラフト3位でオリックスに入団。2年目の2015年には1軍デビュー、初安打も記録した。
2014年の活躍で伊藤の正捕手は安泰かと思われた。しかし、2015年は伊藤と山崎勝己が併用されるようになり、先発マスクは74試合に減ってしまう。
そして、今シーズンは伊藤が配球面で苦しみ、2度ファームに落とされている。その間は山崎がマスクをかぶっていたが、6月になると若月が台頭し、スタメンとして起用されるようになる。
8月2日現在、伊藤と若月の打撃成績は以下だ。
伊藤 46試合/101打数/23安打/打率.247/5打点
若月 43試合/103打数/31安打/打率.301/11打点
伊藤は金子千尋が先発登板するときにマスクをかぶり、それ以外は若月が先発出場しているのが現状である。
伊藤と若月の母校の甲子園成績を見ると、明徳義塾は7年連続18回目の出場、通算29勝16敗。2002年には優勝を果たしている。一方、花咲徳栄は2年連続4度目の出場、通算3勝3敗だ。実績十分の明徳義塾と、新興勢力の花咲徳栄といったところか。
ただ、明徳義塾は2015年夏、2016年春と初戦で敗退している。それぞれの母校の甲子園での趨勢が、ふたりの現状を表しているようだ。
オリックスの正捕手争いは今後どうなるのだろう? 現状は若月がリードしているようだが、このまま伊藤が引き下がるとは思えない。
今後もこの争いに注目するとともに、明徳義塾と花咲徳栄の甲子園での活躍を期待したい。
文=矢上豊(やがみ・ゆたか)
大阪在住の山本昌世代。初めてのプロ野球観戦は、今はなき大阪球場での南海対阪急戦と、生粋の関西パ・リーグ党。以来、阪急、オリックス一筋の熱狂的ファン。プロ野球のみならず、関西の大学、社会人などのアマチュア野球も年間を通じて観戦中。