日本ハムはシーズン半ばまで首位争いを演じながらまさかの大失速。CS出場も逃す5位に終わった。シーズンを通じて故障者が多かったため、ベストメンバーを組むことができず苦しんだ。また、外国人選手が機能しなかったのが苦労した大きな要因だ。
そんな日本ハムの今シーズンを中心とした、ここ数年の編成を本誌『野球太郎』の持木編集長とカバティ西山に話を聞きながら、「日本人選手獲得」「外国人選手獲得」「育成状況」のカテゴリーごとに採点してみた。
(※「日本人選手獲得」「外国人選手獲得」は2018年オフから2019年シーズンが対象)
日本ハムは2018年シーズンオフに大きく動いた。FA選手の争奪戦には参加しなかったが、オリックスから自由契約となった金子弌大を獲得。ヤクルトから秋吉亮と谷内亮太をトレードで加え、戦力を整えた。
一方、ドラフトでは高校生が主体であり、大学生と社会人は生田目翼(日本通運)と福田俊(星槎道都大)の2人のみ。どちらかというと将来性を重視しており、2019年シーズンの戦力としてはほとんど考えていなかっただろう。
そのような状況で、秋吉は故障での離脱がありながらも、守護神に定着し25セーブをマーク。ここ2年間苦しんだが、一気に復調した。また、金子もオープナーなど慣れない起用法が続くなか、8勝7敗と貯金を作り、防御率3.04でまとめてきたのはさすがベテランといったところだろうか。
持木編集長は「金子は先発ローテーションというか、よくわからない使い方でした。どうなんでしょう…。オリックスのエースだった投手なので力は少し落ち気味でも、もうちょっとやれるかな、と思っていたんですけどね」と金子に言及。
カバディ西山も「金子はどういう考えで起用していく前提だったのかわからないのでなんとも言えないのですが、安定しない起用法のなか、よく頑張ったんじゃないでしょうか。35歳(このオフに36歳)という年齢からしても、そう思います」とやはり金子が気になったようだ。
栗山英樹監督をはじめとした首脳陣が、そもそも金子をショートスターターとして考えていたのか、それとも通常の先発ローテーションと同じように考えていたのかで見方が変わりそうだ。
■日本ハムの日本人選手獲得/2018年ドラフト
1位:吉田輝星(投手/金足農高)
4試合/1勝3敗/11回/奪三振13/与四球7/防御率12.27
2位:野村佑希(内野手/花咲徳栄高)
1軍出場なし
3位:生田目翼(投手/日本通運)
4試合/0勝1敗/8回/奪三振2/与四球4/防御率7.88
4位:万波中正(外野手/横浜高)
2試合/打率.000(4打数0安打)/0本塁打/0打点/0盗塁
5位:柿木蓮(投手/大阪桐蔭高)
1軍出場なし
6位:田宮裕涼(捕手/成田高)
1軍出場なし
7位:福田俊(投手/星槎道都大)
1軍出場なし
◇育成
育成1位:海老原一佳(外野手/富山GRNサンダーバーズ)
1軍出場なし
■日本ハムの日本人選手獲得/その他
金子弌大(投手) ※オリックスを自由契約
26試合/8勝7敗/109.2回/奪三振75/与四球40/防御率3.04
秋吉亮(投手) ※ヤクルトからトレード
53試合/0勝5敗25S 7H/51.2回/奪三振48/与四球19/防御率2.96
谷内亮太(内野手) ※ヤクルトからトレード
24試合/打率.080(25打数2安打)/0本塁打/1打点/0盗塁
宇佐見真吾(捕手) ※巨人からトレード
45試合/打率.198(96打数19安打)/0本塁打/9打点/0盗塁
吉川光夫(投手) ※巨人からトレード
4試合/0勝3敗/10.2回/奪三振8/与四球7/防御率6.75
日本人選手の獲得はまずまずの出来だったが、新外国人選手は苦しんだ。ポスティングで獲得した台湾の英雄でもある王柏融は、故障での離脱もあり88試合の出場。打率.255、3本塁打と期待された活躍ができなかった。
また、バーベイトとハンコックの2投手も期待された活躍はできず、1年で退団となった。外国人選手の不振が順位にそのまま影響したと言ってもいい。
持木編集長は「日本ハムの外国人選手は野手に比べると、投手の獲得が今ひとつですよね。王はケガがあったとはいえ、獲得時に大騒ぎしたわりには結果が出ず、大幅減点になってしまいます」と厳しい評価。
カバディ西山は「マルティネスとロドリゲスに期待していた部分はあったのでしょうが、マルティネスが結果的にほとんど投げることができず、苦しみました」と投手陣の不振に焦点を当てている。
■日本ハムの外国人選手獲得
ハンコック(投手)
8試合/0勝1敗2S 2H/7回/奪三振8/与四球5/防御率9.00
バーベイト(投手)
15試合/2勝2敗/32回/奪三振22/与四球21/防御率5.63
王柏融(外野手)
88試合/打率.255(306打数78安打)/3本塁打/35打点/1盗塁
FAで有力選手を獲得するスタイルで大型補強を行うチームではないため、当然、育成した選手を起用していくことになる。2019年シーズンは渡邉諒が一本立ちした。また、清水優心や平沼翔太も順調に育っており、2020年シーズン以降はレギュラー争いに加わってきそうな状況だ。
あとは清宮幸太郎をどのように育てていくかにかかっている。現在は主軸となった中田翔の育成にも時間はかかった。周りの声に負けず、じっくりと育てることができるだろうか。
持木編集長は「2軍で最低限の打席数なり登板数を与えて、そこから抜け出せるかどうかですよね。知名度や順位ありきではなく、育成プログラムに当てはめてダメならクビというスタンスです。そのなかで中田翔も苦しみました。また淺間(大基)が苦しんでいる一方で、中島(卓也)がレギュラーになりました。中島の高校時代を見ていると、正直レギュラーは難しいかと思っていましたが、育成プログラムのなかから這い上がりました。やはり日本ハムの育成は競争色が強いですね。あとは大谷(翔平、エンゼルス)を育てたことも忘れてはいけないです」と育成プログラムについて評価した。
先にも触れたが、日本ハムはFAなどで大物選手を獲得するのは稀。ドラフトで獲得した選手を育てていくスタイル。しばらくはこの流れが続くことになるだろう。
文=勝田聡(かつた・さとし)