佐々木監督が率いた駒大岩見沢の「ヒグマ打線」といえば、高校野球ファンの間では語り草になるほど有名だ。
「素質のある選手がいないから守る野球はできない」
お世辞にも恵まれた環境とは言えない北北海道でたどり着いたのが、打撃重視のチーム作りだった。1980年代からウエートトレーニングを取り入れ、冬場はプレハブで打撃練習。
初めて実を結んだのは1983年のセンバツだった。初出場の駒大岩見沢は今治西(愛媛)を4対1、久留米商(福岡)を3対1で破ってベスト8に進出。物怖じしない堂々とした戦いぶりで「ヒグマ」の愛称を得る大会になった。
そして1993年春にはベスト4、2008年夏にも2勝を挙げるなど、地域的な不利を覆し、甲子園で旋風を巻き起こしている。
判官贔屓の傾向がある高校野球ファンにとって、“最北からの逆襲”は常に期待と注目が集まるところだ。
ズバリ、「ヒグマ打線」の再来はあるのか? クラーク国際のこの夏のスコアを振り返ってみよう。
4対2 岩見沢東(支部・2回戦)
11対1 深川西(支部・代表決定戦)
5対4 遠軽(北北海道・2回戦)
12対5 釧路湖陵(北北海道・準々決勝)
5対4 旭川実(北北海道・準決勝)
3対0 滝川西(北北海道・決勝)
スコア的には「ヒグマ打線爆発」とまではいえないが、遠軽、旭川実、滝川西といった甲子園出場経験のある3校を接戦で下しているのは見事。甲子園で戦える実力は備わっているだろう。
佐々木啓司監督は甲子園では息子の佐々木達也部長に監督を譲る意向を明らかにしている。しかし、北北海道野球界を牽引する名将は監督であろうと部長であろうと、全国の強豪校にとっては気になる存在だ。
北北海道の新しい扉を開くのか? クラーク国際と佐々木親子の新しい挑戦がはじまる。
文=落合初春(おちあい・もとはる)