5月半ばだというのに、すでに汗ばむような夏日が続き、真夏になったらどうなるのか……と心配になる今日このごろ。
プロ野球はというと、セ・リーグはまだしもパ・リーグは徐々に上位と下位の差が開きはじめるなど、チーム間の格差が現れ始めている。
しかし当該チームのファンとしては、夏を前にしてまだまだ終われない、終わってほしくないと思うはずだ。そこで今回は、下位チームの浮上のカギを握る、これからの季節に強い「夏男(ナツオ)」を紹介していこう(記録は5月16日現在)。
セ・リーグ4位:阪神
阪神が誇る「夏男(ナツオ)」といえば、ランディ・メッセンジャー以外に考えられないだろう。その理由はなんと言っても、昨年の交流戦で3試合平均7イニングを投げて、防御率0.00を達成したからに他ならない。
昨季は開幕から2勝5敗と負けを先行させておきながら、交流戦で突如パーフェクトピッチャーに豹変。直前に2軍に落とされたことで発奮したのかもしれないが、チームメイトも驚いたのではなかろうか。
今季はここまで防御率3.40で4勝2敗と勝ち星先行。もしも再び覚醒するようなことがあったら、トラの大外一気のまくりが決まるかもしれない。
パ・リーグ4位:楽天
則本昂大を語らずして、楽天の上昇は語れない。そう思わせるほどの成績を残している夏男(ナツオ)則本。その所以は、6試合に登板して5完投4完封という離れ業をやってのけた2014年の交流戦にある。
このシーズンは、前年に日本一になったものの、田中将大がメジャー移籍してチーム状況が一変。そんな中での新エースの快投に、胸をなで下ろしたファンも多かった。
2015年の交流戦は振るわなかったが、侍ジャパンで得た経験を糧にしたエースが「交流戦の鬼」に返り咲きいたとき、チームは再び上昇気流に乗るはずだ。
セ・リーグ5位:ヤクルト
昨季のセ・リーグ王者ヤクルトだが、現状は5位とあまり振るっていない。とはいえ畠山和洋を筆頭にケガ人が戻ってくるこれからが、真の勝負どころだ。
さらに、前回「春男(ハルオ)」として紹介した山田哲人が、実は「夏男(ナツオ)」だったという驚愕の事実も追い風になるだろう。
昨季の交流戦は打率.309と山田にしては振るわなかったが、一昨年は.378で交流戦首位打者を獲得。
ここまで順調にきいる若き主砲が、得意な季節を迎えてどんな成績を残すのか。山田の成績次第で、ヤクルトの今季が決まると言っても過言ではない。
パ・リーグ5位:オリックス
オリックスの先発ローテの柱であるブランドン・ディクソンも、反撃に必要な夏男(ナツオ)だ。
交流戦の成績を見ると、昨季0.82、2013年に0.74という驚異の防御率を記録しており、隔年ではあるが、当たった時にはまさに「神」と言うべきピッチングを披露している。
ただし谷間の一昨季は3.45という防御率であり、データ通りなら今年はダメな年…。ディクソンの復調なくしてオリックスの浮上はない。奮起に期待したい。
セ・リーグ6位: DeNA
昨季とは打って変わって、今季は開幕から最下位に低迷しているDeNA。例年を考えるとここからの浮上は考えにくい。しかし、そんな中でも期待したいのは井納翔一だ。
交流戦は、一昨年こそ防御率が3.45だったが、昨季は1.23と人が変わったかのような抑えっぷり。勝ち星こそついてこなかったが、今季はここまで防御率1.93と奮闘しているので、さらなる飛躍が臨めそうだ。
話題のルーキー・今永昇太に先輩の威厳を見せるためにも、今こそ「夏男(ナツオ)」になるとき!
パ・リーグ6位:西武
西武が期待したい夏男(ナツオ)は、ホームランキング・中村剛也だ。2011年〜2015年の交流戦成績(ケガで離脱していた2013年を除く)を調べると、その理由がわかる。
この4年間で、交流戦本塁打王に輝くこと3回。2012年に至っては、2位の李大浩(元ソフトバンク/現マリナーズ)にダブルスコアをつける12本のアーチをかけ、その上で.342のハイアベレージもマークと大暴れしたのだ。
今季はまだ4本と本来の力が発揮できていないが、得意な交流戦で息を吹き返せば、好調なメヒアとともにチームを上位に導いてくれるはずだ。
「夏男(ナツオ)」下位球団編、いかがだっただろうか? 信じるも信じないもアナタ次第だが、彼らが反撃のキーマンになってくれることを私は楽しみにしている。
まだ半分も消化していない今季のペナントレース、このまま終わってしまってはあまりにも寂しいし、物足りない。それに下位が奮起して、かき回してこそ盛り上がるというものだ。
その中心にいるはずである「夏男(ナツオ)」。夏男に注目すれば、ここからのペナントレースがよりおもしろくなるだろう。
文=森田真悟(もりた・しんご)